先のことはわからない。でも、ひとつだけわかっていることがある。僕は、一生サッカーを追いかけていく。これは間違いない。
(あとがきより) ─ 213ページ
書籍情報
書籍名:察知力
著者:中村俊輔
出版社:幻冬舎
レーベル:幻冬舎新書
発売日:2008年05月30日
購入日:ー
読了日:2012年03月17日
レビュー日:2012年03月17日
目次
第一章 成功へ向かうとき、必要なものが「察知力」だ (9)
第二章 僕はこうして「察知力」を磨いてきた (37)
第一節 サッカーノートが僕を作った (38)
第二節 フリーキックを徹底追求して見えたもの (48)
第三節 自分の”引き出し”の数が、未来の可能性になる (59)
第四節 僕を育てた「壁」 (80)
第五節 海外へ移籍した理由 (97)
第六節 イタリアからグラスゴー、海外での壁に向かった (105)
第七節 すべての監督から、学びがある (129)
第八節 チームメイトから察知できる喜び (142)
第九節 妥協しない姿勢 (153)
第三章 「察知力」を活かして未来へ進む (171)
第一節 僕にとっての日本代表 (172)
第二節 ベテランの価値 (192)
第三節 指導者として歩む夢 (201)
あとがき (210)
感想・備忘
構成は寺野典子氏。
「察知力」とは、「瞬時に状況判断をして正解を導く力」らしい。
中村俊輔(なかむら しゅんすけ)氏は、1978年6月24日生まれの45歳の、元日本代表MFです。昨年現役を引退され、2024年現時点ではJ2横浜FCのコーチを務めておられるようです。
本書は中村氏自身による、選手生活を含めた生い立ちから、今後の夢まで、その中で彼がなにを感じ、「察知力」を磨いてきたかを綴っています。長谷部誠の「心を整える」も読んだのですが、タイプとしては全く逆方向かも。
淡々と綴っている(変な言い方したら、澄まして)印象だった長谷部に対し、この本ではとにかくもう、笑っちゃうくらい「サッカーが好きでたまらん!」ってのが伝わってきます。あちらが理論的ビジネス書ならこちらは熱血系かな。
彼のサッカーノートは「すべての監督から学びがある」、「引き出しを増やす」など、一般的なビジネス書を読んだことがある人には納得なことも多い。「サッカー選手」というプロフェッショナルの仕事術ともいえるかも。
指導者として夢を実現した暁に、もう一度彼の著書を読んでみたいなと思いました。
サッカー好き、中村俊輔好きには面白いと思うのですが、そうでもない人が読むと延々自分話になるので、好みが別れるかも。長谷部さんのはそういう意味では一般の人も気楽に読める内容、構成でした。
高校生の頃に部活動でサッカーをしていた時期がちょうど中村俊輔の黄金期内であった私としては、彼のFKは毎試合ワクワクしたものです。
どんな時代、どんなフィールドでも「スター」がいるということは、夢と素敵な思い出を与えてくれる…という意味でとても素晴らしいものだと、懐かしくもなった1冊でした。
印象に残ったところ
落ち込まない人間はいない。だからと言って、永遠に落ち込んでいることもない。自分自身で悩み、励ます言葉を見つけることもあれば、誰かの一言が助けになったり…など、上を向くきっかけは必ずある。
誰もが経験していると思うけれど、ほんのちょっとしたことが、そういうきっかけになるときもある。そういう体験をノートに記しておけば、次につまずいたとき、昔の自分の言葉が励ましてくれる。
(第二章 第一節 サッカーノートが僕を作った)─ 45ページ
初心忘るべからず、という言葉があるけれど、最初にその場所に立ったときの思い出や目標、ワクワクしていた気持ちなどを思い出すことで、気持ちもリフレッシュできる。
「体験」というのは貴重なもので、その人にとっての宝物だと思う。まったく同じ感情で、同じ状況で、同じ”経験値”で、同じことに遭遇することは滅多にないはずだから。
(第二章 第一節 サッカーノートが僕を作った)─ 46ページ
うまくいかないときは必ずある。壁が見えるときはまだいいほうだ。それを乗り越えればいいだけだから。でも、壁すら見えないときもある。そういうときは、考える。必ずそこにあるはずの壁を察知する。必死で壁を探す。壁が見つかれば、よっしゃ、という気分になる。次はそれを乗り越えるために必要なことを考える。乗り越えたら、また強くなれるから。
(第二章 第四節 僕を育てた「壁」)─ 95ページ
書籍など
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