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【読書記録】神田昌典『2022――これから10年、活躍できる人の条件』 (PHPビジネス新書/2012年)

選択とは、覚悟することだ。
─ 104ページ

書籍情報

書籍名:2022――これから10年、活躍できる人の条件
著者:神田昌典
出版社:PHP研究所
レーベル:PHPビジネス新書
発売日:2012年01月18日

購入日:ー
読了日:2012年03月17日

 

目次

はじめに (3)
第1章 先が見えない世の中って言うけれど、それは天気予報があるのに知らないようなもんだ (18)
第2章 平成「ええじゃないか」が、なぜ必要か? (50)
第3章 踊る中国 沈む日本 (80)
第4章 2024年、会社はなくなる!?  (116)
第5章 イン・フォメーションから、エクス・フォメーションへ (166)
第6章 四〇代が、時代のはざまに架ける橋 (204)
第7章 二〇二三年―再びページを開くとき (242)
2022に向けた行動をサポートするコミュニティガイド (268)

 

感想・備忘

神田昌典氏は、1964年生まれの60歳。この本の出版当時は48歳で、経営コンサルタントとして日本におけるダイレクトマーケティングの第一人者として活躍されていました。
以下は2013年頃に書いていたレビューを転記します。

経済×歴史=未来のために今、なにをすべきか。机上の空論に終わらず、実践をすることを読後覚悟させてくれる本。

司馬遼太郎は40年周期で世の中の良い時と駄目な時が交互にくるみたいなことを言っておりましたが、70年を1つの周期としてみるのもそれの延長なんだろうなと思いました。
Sカーブとかマネジメントを勉強したことがある人にとっては馴染み深いものも出てくるけど、他のビジネス書と違うのは、時代の波(過去ではなく)からそれを分析し、これからの打開策を打ち出していること、でしょうか。
3章までが全体概要、4章は経済、統計的な話が絡んできて、5章以降は著者が考える、今できることあるいはそのとっかかりとか事例。

個人的には自分が昨今感じていたこと、歴史を学ぶ意義について考えていたことと似ている点が多く、こういう風に考えている人やっぱり他にもいるんだなと、手ごたえみたいのを感じました。
ただ、自分が歴史を学んだ上で漠然と捉えていたことについて、データを色々出してきてちゃんと裏づけを取ったり、経済学、統計学的な面からの視点もあって勉強になりました。
同時に、自分はまだ「イン・フォメーション」から抜け出せていないこと、神田氏のこの本自体が「エクス・フォーメーション」の一例なんだろうなとも。
日本に生まれたらには日本人としてやるべきことがある、とか、この変革期に必要な(本田宗一郎や井深大のような)人材は必ずいる、とか、思わず吉田松陰を連想しちゃいました。

「選択とは、覚悟すること」という一言が個人的には印象深かったです。
全然違う本で以前、「自由とは、選択すること」という一言があったのですが、それとつながるなぁと。タイムリーに先日こんな出来事が。

人と街をぶらぶら歩いていたら、おそらく足が悪いのであろう、ホームレスのおじさんが、お尻をつけたまま目の前をずって横切っていったのです。
私はどうもこういうのに弱いので、いたたまれずにおり、「こないだマザーテレサの名言を見返していたら、”日本は豊かなのになぜ国内の浮浪者に手を差しのべないのですか”的な話があって、そうだなぁと思った…。カンボジアとかアフリカとか、海外の貧しい国々にはこぞって援助するのに…」と言ったら、一緒にいた相手が、「でもそういう、生まれてから選択の余地がない(内紛やってたり、働くしかなかったり、田畑が荒れていて食べるものもなかったり)状況で貧しい人々と、日本のホームレスは訳が違うからね」とさらり。

昨今渋谷の駅で若いホームレスの人々が多いという話も併せて聞いたんですが、確かにそうだなぁと。ある意味彼らは、”ホームレス”という生き方を選んだのだろうなと。
先日コンビニで立ち読んだホームレス取材本で、リストラ後一家離散し気づいたらホームレスに。一度ホームレスになると就職しようにも住所不定で書類審査で落とされる、という悪循環もあるというのを目にしたけど、果たして彼らは最善を尽くしたのか。プライドや、労力やその他たくさんのものとを天秤にかけて、結局自分で”選んだ”結果なのではないか、とか、すべての人がそうとは限らないけれども、そういう人もゼロではないのかもしれない、と思ったのでした。

ホームレスを批難しているわけでもなく、むしろホームレスに限らず新卒で入ってすぐ会社辞めちゃったー、とか、働いてるけどこのままでいいのかなとか悩んでる人とか、入った会社の愚痴ばっかり言ってる人とか、そういう人にも言えることなんじゃないだろうか。
当たり前のように享受している”自由”に自分の生き方を選べる日本で、自分の意志で選択できることの価値や、その意味を改めて考えました。

本書で言っていた2022年を過ぎた2024年に、本書の内容と上記の2013年頃の自分のレビュー記事を読んで、率直にいうと怖いと思いました。
特に、ホームレスのくだりは昨今問題になっている自己責任論に直結しており、この時も100%そういう生き方をされている方が好きでそういうことをしているわけではない、と理解はしていたものの、自分も歳をとり、病気や生き方の問題にぶち当たる経験もするとやるせない気持ちになります。

そういった意味では、本書で予測されていた社会は今その通りに進んできてしまった、といえるのかもしれません。
こういったビジネス書はこの頃よく買っていて30代を越えてからは読まなくなったのですが、時々こうして振り返りや答え合わせのような意味で読みかえすと、当時は見えなかったり感じなかった新しい見解を与えてくれますね。

 

印象に残ったところ

要は、神田を踏み台にして、あなたがどう考え、行動するか。それが大事だよ。だから「こいつの言うことに反論してやろう」と思いながらも、ダーッと一気に読んでほしい。すると翌朝起きたときには、私が本書で共有しているアイデアを超える、あなた自身のプロジェクトが生まれているはず。
─ 9ページ

はっきりしているのは、これからの一〇年で、世界は変わる。その中で、日本は非常に重要な役割を果たせる立場にあるということだ。未来への未是先案内人を、日本人が務めることになると言っても過言ではない。
─ 25ページ

未来とは選択であり、それは意志によって実現する。どんな予想外の障害が目の前に現れたとしても、それは私たちが描く未来を打ち砕くものではなく、加速させる存在なのである。しかし、未来をどう創ろうか、という意志がないものにとっては、これから起こる障害は、乗り越えられるはずがないと思えるほどに大きなものとなろう。
─ 26ページ

確かに言えることは―過去の歴史サイクルと同様、私たちは二〇一五年までに「圧倒的な欠落」に気づくだろう、ということだ。
─ 47ページ

二〇一五年には、私たちは、何もないことを知ることになる。いったい、何がないのか?おそらく人間の心について、そして人間の可能性について、何も知らなかったことに、はじめて気づくのだと思う。この「圧倒的な欠落」を埋めるために、次の歴史サイクルが本格的にはじまることになる。
─ 47ページ

私たちは破壊と創造という言葉があることから、必ず破壊がなされないと創造がないと考えてしまう。だが、実際には、破壊は必要ない。破壊は、古い価値観に基づくシステムや習慣を手放さないから、必然となる。
─ 66ページ

 

書籍など


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