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【読書記録】裸でも生きる2

誰しも一人では前進できない時があり、一人では壊せない壁がある。しかし、2人だったら進める一歩があり、10人だったらその一歩を楽しめ、100人だったら道にあるハードルを乗り越えられて、1000人だったら、もしかしたらよりよい道を見つけ出せるかもしれない。
ー 221ページ

書籍情報

書籍名:裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける
著者:山口絵理子
出版社:講談社
レーベル:講談社BIZ
発売日:2009年10月01日

購入日:ー
読了日:2012年08月04日
レビュー日:2012年08月04日

 

目次

プロローグ それがすべての始まりだった
第1章 情熱の先にあるもの
直営第1号店オープン
『裸でも生きる』
「情熱大陸」
自分との葛藤
マザーハウス式店舗展開
マザーハウスの社会貢献事業
夢の百貨店
第2章 バングラディッシュ、試練をバネにして
突然の退去通告
どうしても守りたいもの
劣悪な移転先
ハシナのピーナッツ
ローシャンが辞めた日
バングラで最高の工場をめざして
第3章 チームマザーハウスの仲間たち
デザイナーとしての自分を操る
『通販生活』とのコラボレーション
「チームマザーハウス」
やりたいことが分からない人へ
「資本主義」をポジティブにとらえる
HISのバングラディッシュ・ツアー
第4章 そして第2の国ネパールへ
ネパールへの旅立ち
ネパールの混乱した現実
私は私の哲学に固執したい
ダッカ織りとの出会い
やはりバッグで勝負したい
第5章 ネパール、絶望と再生の果てに
ネパールのバッグ提携工場
前払いできるか、とビルマニは言った
ネパールでの本当の戦い
ラトナ工場との絆
ビルマニのたくらみ
そして扉は閉ざされた
脅迫電話
神様はどんな決断を私に期待するのか
裏切りという結末
再生のためのインド
歩きつづけるための選択
エピローグ Keep Walking

 

感想・備忘

1冊目の感想はこちら。

2012年当時に記載したレビューを転記します。


マザーハウスの代表兼デザイナーの山口絵里子さんの著書第2弾。
今回はネパールでの生産を試みた話が中心になります。

このエッセイの中で「情熱大陸」の取材の話が出てきます。
私もこの本を読んだ後に、録画物でこの情熱大陸を見る機会があったのですが、今まで本と写真だけて拝見していた山口さんの喋る、動く姿を拝見して…なんて綺麗な人なんだろう!と思いました。
善人、という意味ではなくて、とても自分にまっすぐな方という意味合いのほうが強いのですが、素敵な方ですね。

情熱大陸に出ていた工場スタッフが、その後辞めてしまったり…というようなこともこの本には出ていて、情熱大陸を見た人は少しショックを受けてしまうかもしれませんが、それを乗り越えてまた歩き出す山口さんは健在です。

とにかくネパールの件が濃くて、後半ページが足りなくなって駆け足な感がありますが、相変わらず勇気をもらえる1冊です。

 

印象に残ったところ

「私が表に出ることが、本当にいいことなのか分からない」私個人が表に出れば出るほど、「バングラディッシュ」や「バッグ」というキーワードが後ろに隠れてしまう気がした。
ー 39ページ

私は、自分のことを本気で「普通だ」と思っている。取材でもいつもそう答えている。しかし、結果的に、ひたすらメディアが作り上げたもう一人の山口絵里子との乖離は大きくなり、その山口絵里子と常に戦っているような気がしていたのだ。
ー 40ページ

多くの人たちが「バングラディッシュ」という国がどこにあるかも知らない。ましてや、その国が秘めているたくさんの可能性も知ることができない。単に商品が売れるかどうかだけでなく、それまで知られていなかった途上国の現実を、もっとたくさんの人に知ってもらうためにこそ、私には言葉があるんだろう。それが、逃げていた自分に対して、悩みながら出した答えだった。
ー 41ページ

社会のために、今被害にあっている目の前の人を助けるために必要なのは、頭脳明晰な集団と莫大な金額ではなく、素早いアクションを起こす行動力と、現場の声を聞く姿勢と、心から燃え上がる使命感ではないか。
ー 50ページ

人を信じられない恐怖。そして、それに押しつぶされそうな自分自身との戦いの中で、私に光を与えてくれたのはこのハシナだった。信頼していた人間が、カメレオンのごとく主張や態度を変化させるのを目の当たりにしながら、状況がどんなに変わろうと、変わらず私のそばにいてくれる工員たちだった。お互い言葉は交わさなくても、国境も文化もすべてを乗り越え、本当に心がつながっていると思えた瞬間だった。
ー 83ページ

お客様がいて初めて成立するビジネスは、自己表現であるアートとはまったく違う。お客様の欲しいものを分析し、それを途上国の素材と技術を使用しながらも私というフィルターを通すことで、日本の街並みに溶け込みながらも新鮮さとある種の驚きをもった商品が作られる。
ー 96ページ

私は、このクリエイティブな仕事を心から愛している。 ー 97ページ

人間、最初から自分に与えられた使命、そして、自らが突き動かされる使命を持って生まれてくるわけではない。人生とは、私はまさにその使命を探すための長い道のりなんじゃないかと思う。
ー 115ページ

人生とは、やりたいことや自分が幸福だと思うものを探し求め、やってみて、違ったらまた探し、見つける。そんなプロセスそのものだと、私は思う。
ー 118ページ

欲望自体を悪者と見る従来の資本主義を敵視した考えに私は賛同できない。理由は簡単で、自分自身が欲望を持った人間だからだ。私はマザー・テレサでもなければ、「いい人」でもない。そんな開き直りの先に、資本主義をもう一度ポジティブに塗り替えるという視点に立脚し、マザーハウスにたどり着いた。
ー 121ページ

国の発展とはなんだろうか。外国人である私が、危機感を抱いているのに、その思いをこの国の人たちと共有できない。「誰かがかえなきゃいけないでしょう?どうするの?一体どうなるの?何か方法はないの?どう思うの?」私がそういって問い詰めると、「多分君が、この国で一番僕らの国のことを考えようとしているよ」と笑われた。
ー 150ページ

哲学とは、自分の人生の指針であり、それは私の中で今も変わらない。いや、変わってはいけないものなのだ。
ー 155ページ

 

書籍など

私が購入した当時は講談社BIZというレーベルでしたが、現在は講談社+α文庫から出ています。

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