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【読書記録】ウェブ進化 最終形 「HTML5」が世界を変える

つまり新たな日本ブランド、日本独自のカラーとは、「最も広範囲の製品をカバーする、最もオープンなインターネット対応製品とサービス」になるのです。
ー 165ページ

書籍情報

書籍名:ウェブ進化 最終形 「HTML5」が世界を変える
著者:小林雅一
出版社:朝日新聞出版
レーベル:朝日新書
発売日:2011年05月13日

購入日:ー
読了日:2012年09月27日
レビュー日:2012年09月27日

 

目次

第1章 HTML5は世界をどう変えるか―すべてのものがウェブでつながる
HTML5=ゲーム・チェンジャー
ウェブで何でもできる世界の到来
HTML5登場の背景―マルチ・デバイス時代の到来
クラウド・コンピューティングを次の段階に導く
ウェブの共通言語が実現する世界とは
グーグルはすべてのモノをウェブ広告に使いたい
アップルは競合他社をモバイル産業から排除したい
マイクロソフトの一押しで一気に普及
日本メーカー復活のカギを握るHTML5
第2章 ウェブ進化の究極形―HTML5とは何か
ウェブの歴史―科学者の情報共有システムからスタート
ウェブ・アクセスの仕組み―ホームページはどう表示されるか
HTMLとはどんなものか
ウェブの本質「ハイパーテキスト」とは何か
HTML標準化の始まり
ブラウザ戦争の始まり
XHTML―ウェブの「暗黒の中世」
戦後世代ブラウザから始まったHTML5
いわゆるHTML5は、次世代のウェブ標準全般を指す
HTML5は既に使われ始めている
ホームページの進化とHTML関連技術の拡大
ジャヴァスクリプトとは何か

HTML5の中身に切り込む
①新しい機能の導入
HTML5が提供する新しい機能とは何か
プラグイン無しでマルチメディアを再生
インターネットの「あちら側」と「こちら側」の境がなくなる
インターネットから切断されても、ウェブ・アプリが使える
リアルタイムの双方向通信が可能に
②HTML文書の論理構造の明確化
③異なるブラウザ間の互換性を実現

第3章 HTML5を巡る米IT業界の動き―個別プラットフォームからウェブ標準への覇権移譲
HTML5が最初に注目をあびたきっかけ
アップルはなぜフラッシュを排除するのか
当面はフラッシュ、最終的にはHTML5
アップルはなぜHTML5を支持するのか
HTML5はスマートフォン戦争も左右する
超多角経営のグーグルに統一戦略はあるのか
デスクトップ・コンピューティングの終焉
アップルとグーグル、新時代における対立の構図
マイクロソフトは将来への展望が見えない

第4章 日本メーカー復活のカギを握るHTML5-「M2M(Machine to Machine)」が成長する
家電のIT化で、勝ちパターンが変化
独自規格からオープン路線に転じたソニー
一人の強敵に大勢で立ち向かう
ソニーがグーグルと手を組んだ理由
特定の企業の支配を逃れるにはHTML5
日本の家電メーカーはHTML5を支持
国内規格で守るか、国際規格で改めるか
スマートフォンやネット・テレビは序章に過ぎない
インターネットに接続する端末が爆発的に拡大
共通インターフェースとしてのHTML5
なぜすべてのモノがネットにつながるのか
Web of Things はM2Mを中心に成長する
アップルやグーグルに対する日本メーカーのアドバンテージとは
共通プラットフォーム作りでは、韓国よりも日本メーカーに一日の長

第5章 HTML5で生まれ変わるマス・メディア―新しいプラットフォーマーの誕生
異種メディアが通信に合流
電子出版市場を分け合うアマゾン、アップル、そしてグーグル
電子出版はどんなコンテンツになるのか
出版500年の既成概念を覆せるか
デジタル化への再編が始まった日本の出版業界
紙におこす力と電子におこす力は別物
レコード業界を骨抜きにしたアップルに対する警戒感
国内規格と国際規格の争い
「規格」と「日本文化の保護」は別問題
HTML5も、いずれは日本語表記に対応
米IT業界が思い描く次世代テレビの姿
ウェブ・オン・TVは出足苦戦
リーン・バックかリーン・フォワードか
日本の放送局が思い描く次世代テレビの姿
ソーシャル・メディアで進化するテレビ
テレビがウェブに呑み込まれる
通信型メディアへの構造変化
メディアの構造変化に伴う意識改革が必要

 

感想・備忘

2012年当時に記載したレビューを転記します。


筆者はKDDI総研リサーチフェロー。(リサーチフェローが分からなかったので調べたら、直訳すると研究員とのこと。特別研究員、てことかな)

小難しいかと思いきや、雑記記者や新聞社に勤務した経験からか、非常に分かりやすい1冊になっています。
技術書というよりは、HTML5ってなに?という方や、近年のウェブの動向が知りたい人向けの入門書、といった感じ。
私も昨年からウェブデザインの面でHTML5を少しだけ学んだのですが、そのメリットみたいなものが「デザイン」側からだとあまりよく分からないなーと思って、読んでみました。

多分、個人的に「HTML5?別にそんなに劇的になにかが変わるわけでも…」という感覚になっているのは、私のなかでHTMLがまだ「レイアウトを指定するための言語」(p14)だからだな、と感じました。
しかし、HTML5で本格的なアプリケーション・プラグラムが作れます!といっても、クラウドという言葉が定着しつつある昨今、「インターネット上でそれができるのなんて当たり前でしょ?今更…」という気がしますが、今はそれが別々の言語でどっかのサーバにアップされてるのを使ってんのよ!違うの!HTML5だとそれが1つの言語で全部できちゃうんです!、と言ったところで、ただ使っている人はその凄さに「へぇ~」とはならないだろうなぁ。

個人的には、「ウェブ黎明期の様子」がすごく面白かった!
今では当たり前に使われているHTMLのタグが、こんな空気のなか生まれたんだ!というのが分かってなんだか楽しかったです。

【メモ】
◇HTML5
■狭義のHTML5
ホームぺージの文書構造を指定するマークアップ言語「HTML」の5回目の大幅改定版。

■広義のHTML5
「狭義のHTML5」を中心とする次世代ウェブ標準全般。
CSS3やJavascriptAPIなどが含まれる。

◇次世代プラットフォーム
・次世代テレビの規格としてのHTML5

■BML(Broadcast Markup Language)
総務省所管の社団法人「電波産業会」(ARIB)が2000年のBSデジタル放送に合わせて作成した放送用マークアップ言語。
日本のデジタルテレビにはBMLブラウザが搭載されており、放送局の流すデータ(情報)を解釈してテレビ画面に表示している。
HTMLとの互換性はないため、BMLブラウザで通常のウェブ・ページを見ることはできない。
日本以外で採用されたケースはブラジルのみ。

■M2M(Machine to Machine)
機器同士のコミュニケーション・システム。家電等がすべてインターネットでつながり、インターネットを介して制御されるようになる。

■Internet of Things の起源はユキビタス・コンピューティングにまでさかのぼる。

■HTML5とこれまでのHTMLの違い
1)Javascriptで本格的な情報処理を実現するための新しい機能を導入
2)HTML文書の論理構造を明確化
3)異なるブラウザ間の互換性を実現

■1)新しい機能
・キャンバス・タグ(お絵かき)
・ビデオ・タグ
・オーディオ・タグ
・ドラッグ&ドロップAPI
・ファイルAPI
・ウェブ・ストレージAPI(ローカルストレージ、アプリケーションキャッシュ)
・ウェブ・ソケットAPI


ここから2024年の感想です。
こういったビジネス書は数年経つと読み返すこともなく、内容も薄れていっている…というふうに思っているのですが、IT系のものなどについては答え合わせをする意味で何冊か残していたりします。

2012年当時のレビューでも書いていますが、この頃HTML5が本当にWebデザインなどの界隈で盛り上がっていて私も勉強し資格を取ったりしたのですが、2024年現在、Web系ではない業務サービスなどのシステムは、私が携わっている限りはHTML5ルールのコードにすべて書き換わっているか、というと、そんなことないなぁ…という感じです。
HTML5が担うかと思っていた機能の多くは、HTML5というよりもVue.jsやTypeScriptなどの周辺ライブラリがラップして、それを使うということが多いような気がします。
少なくともHTMLという言語は今後も無くならなることはないでしょう。

私は仕事ではWeb系はほぼ触らず、こういったブログなどの趣味でやっている程度の人間でギーク的な神々のレベルには程遠いサラリーなのですが、インターネットに救われた人種なのでHTMLなどWeb周りはとにかく「楽しいな」と思っています。
リーナスの自伝でもHTMLなどのマークアップ言語の話が出てきます。

昨今はドキュメントをマークアップ言語で書く、という流れになってきていますが、そういう面でもHTMLやXMLなどの言語の考え方は、ベースとして学んでおいて絶対に損はないのではないかと。
著者が言っていた「最も広範囲の製品をカバーする、最もオープンなインターネット対応製品とサービス」はHTMLの力ではまだ実現されていない状態ではありますが、粛々とすすんでいるTRONプロジェクトなどをみていると、光が見えるような気がしています。

変化の激しい時だからこそ、新しい情報を入れるのと同時に、こうやって時々振り返りをして未来を見つめなおしていきたいな、と思いました。

 

印象に残ったところ

HTML5によって、ウェブは「何かを見るためのホームページ」から「何かをするためのプラットフォーム」になる、と。
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