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【読書記録】執着しないこと

そもそも、仏教でいう「愛情」とはどのようなものなのでしょうか。それは「所有欲」です。自分の「所有物」として、いつまでも自分の手元に置いておきたいという強い思い。それと同時に、その「所有物」が、自分の目の前からなくなってしまうことへの恐怖。これが愛情の正体です。
ー 86ページ

書籍情報

書籍名:執着しないこと
著者:アルボムッレ・スマナサーラ
出版社:中経出版
レーベル:ー
発売日:2012年11月30日

購入日:ー
読了日:2013年01月27日
レビュー日:2013年01月27日

 

目次

はじめに 人は驚異的なエネルギーを持って生まれる
第一章 「妄想」を捨てる
考えすぎるほど、エネルギーは失われていく
あなたの考えていることは、すべて妄想である
考えることをストップする
考えないから、「智慧」が現れる
第二章 「自分」へのこだわりから抜け出そう
「私こそ正しい」が、あなたを苦しめる
「完璧な自分」でいる必要はあるのか?
「自分」へのこだわりを捨てるには?
「五戒」を守れば、誰からも攻撃されなくなる
「道徳」の実践で、人生はもっと楽になる
第三章 「他人」へのこだわりを捨てる
人間関係の基本は「協力」である
ロクでもないものを与えれば、ロクでもない友達ができる
「他人の気持ち」をわかりたいなら、「自分の気持ち」をまず理解する
与えるのは、相手にとって「やさしい行為」
人間関係は、量より質である
言葉には気をつけるべし
他人の言葉には「避雷針」をつける
「愛情」で子どもを育ててはいけない
必要なのは、「愛情」ではなく「悲しみ」
親子の協力関係は、親が死ぬまでつづく
自分が「ともしび」になる
現状の関係にしがみつかない
第四章 「モノ」へのこだわりを捨てる
執着があらゆる苦しみを生む
すべてのモノは「借り物」である
モノは使っている瞬間に幸せがある
他人も自分も幸福にする「節約」とは?
お金に執着しない
知識は増えるほど、人間を苦しめる
不要な知識は捨てていい
第五章 「過去」も「未来」も捨てる
妄想がストレスを生み出す
過去の記憶は妄想である
過去へのこだわりが、「いま」への集中を阻害する
未来への不安が、人生を停滞させる
「いま」がもっとも重要である
「いま」に集中できる人は、ストレス知らず
迷わない人の決断の仕方とは?
「第三の道」を選択する
夢は持たないほうがいい
第六章 「老・病・死への不安」を捨てる
「老い」を受け入れる
「100%健康な状態」など幻想にすぎない
身体に執着するほど、病気になりやすくなる
身体が病気になったとき、心まで苦しまない方法
死ぬのが怖い、本当の理由は?
死を意識することで、「いま」が充実する
親しい人の死を、どう乗り越えるか?
おわりに 「笑い」でエネルギーを満タンにしよう

 

感想・備忘

2013年当時に記載したレビューを転記します。


人間はそもそも、ものすごいエネルギーを持って生まれてきます。小学校に入る前くらいまで、たいていの子どもはとても元気ですね。ところが、そのエネルギーは、年齢を経るごとに弱っていきます。それは、成長するにつれてエネルギーがどんどん漏電していってしまうからです。その原因に、「怒り」「欲」などがあります。こうした感情にさいなまれるとエネルギーの漏電はものすごい勢いで進むのです。
この「怒り」「欲」は執着から生まれます。苦しいときは、こだわること、思考することをやめてみましょう。

ー 出版社からのコメント

「捨てる」とは、理解するのがとても難しい仏教の教えです。私自身、個人的に説明することを遠慮したくなるテーマです。

と、「おわりに」で筆者は述べています。
本書は、生命のエネルギーを漏電させる「執着」を捨てること、その方法を説いたもの。
著者のこともこの本のことも知らなかったのですが、知り合いから「面白いから」とお借りしました。

私は祖父が熱心な浄土真宗門徒で、小さい頃は地元の檀家寺に日曜日になると近所の子らと説法を聞きに行かされていました。特に意識はしていなかったけれど、そんな環境で育ったからか、著者が述べていることはすんなり理解ができました。

しかし、そういったり、「仏教の教え」というと、お釈迦様がこういった、とか、罰があたる、とか、抽象的な話が続くんじゃないの?と思われるかもしれませんが、本書は(突き詰めると原始的な仏教も)人間の本能や心理に基づいた、非常に理にかなった内容になっているため、ビジネス書感覚で読めてしまうと思います。

例えば、人間は外部からの情報を、「眼・耳・鼻・舌・身(身体)・意(頭)」で得ています。この6つの器官のことを仏教では「六根」といいますが、

六根のうち、眼・耳・鼻・舌・身が受け取る情報には、「主観」がありません。
単に「色」であり、「音」であり、「香り」であり、「味」であり、「感触」です。それらを頭(意)が「これは音だ」「これは食べ物だ」「これはにおいだ」と「区別」しているにすぎません。区別は意で行います。そこにも、「美しい声」や「まずい食べ物」「臭いにおい」といった主観がありません。主観は後から起きてくるものです。

p22-23

とし、外部からの情報(他者の発言など)について、

ところが、私たちはたいていの場合、情報をそのまま受け取るということをしません。かならずといっていいほど、情報を受け取った途端に、主観のフィルターに通します。自分の主観でその情報を解釈しようとするのです。

p23

と、「情報をねじ曲げるのは、あなた自身である」と言い切ります。反論の余地はないでしょう。
では、どのように捻じ曲げないようにするか…というのは、結局は「執着しない」ということに落ち着くわけですね。

<めも>
■五戒
1.不殺生戒:殺してはいけない
2.不妄語戒:ウソをついてはいけない
3.不偸盗戒:盗んではいけない
4.不邪淫戒:配偶者以外との性行為はいけない
5.不飲酒戒:お酒を飲んではいけない。

■十悪
1.殺生
2.偸盗
3.邪な行為
4.妄語
5.悪口
6.両舌
7.綺語
8.貪欲
9.瞋恚(しんに。強い怒り)
10.邪険

 

印象に残ったところ

世の中は持ちつ持たれつです。「自分はこの部分が苦手」というところがあっても、それは得意な人が補ってくれます。逆に、ほかの人にできなくて、あなたにできることは、あなたが快く補ってあげればいいのです。世の中はこれでいいのです。あなたは100%完璧でなくてもいいのです。そもそも、誰もそんなこと望んでいません。
ー 40ページ

五戒を通してお釈迦さまがおっしゃっているのは、「ほかの生命に迷惑をかけないこと」「自分を不幸に陥れる行為をやめること」です。五戒を実践するとは、「他人にも、自分にも、迷惑をかけない生き方をすること」といえるでしょう。
ー 48ページ

与える者が友達をつくります。
ー 60ページ

 

書籍など

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