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【読書記録】世界を変えた10冊の本

資本主義の欠陥を知る上では『資本論』が役立ちますが、そこから先は、私たち自身が考えなければならないのです。
ー 150ページ

書籍情報

書籍名:世界を変えた10冊の本
著者:池上彰
出版社:文藝春秋
レーベル:文春文庫
発売日:2014年02月07日

購入日:ー
読了日:2016年11月12日
レビュー日:2016年11月12日

 

目次

はじめに
第1章 アンネの日記
第2章 聖書
第3章 コーラン
第4章 プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
第5章 資本論
第6章 イスラーム原理主義の「道しるべ」
第7章 沈黙の春
第8章 種の起源
第9章 雇用、利子および貨幣の一般理論
第10章 資本主義と自由
おわりに

 

感想・備忘

2016年当時に記載したレビューを転記します。


本書は、池上さんが文藝春秋から発行されている女性向け月刊誌のCREAに、10か月に渡って連載されたものをまとめたものです。
電子書籍の普及や読書離れが進んで発行部数の減少、休刊、廃刊になる雑誌のニュースも絶えませんが、そんななかでもやはり本の持つ力というのはとてつもない強さを持っている、と氏は言います。

読んだ人が、内容に感動したり、感化されたり、危機感を抱いたりして、何らかの行動に出る。それによって人々が動き、ときには政府を動かし、新しい歴史が築かれていく。それによって人々が動き、ときには政府を動かし、新しい歴史が築かれていく。書物の持つ力は恐ろしいほどのものです。

はじめに p9

そして、本書で取り上げている「聖書」や「コーラン」、「資本論」など、耳にしたことがある人は多いのに読んだことがある人が比例しないのは、『古くて読みにくい、分かりにくい』といった印象があるからではないか、と指摘しています。
ので、この本は1冊1冊の内容を深く負ったものでも、世界を動かしたかをものすごく細かく説明した本でもありません。紹介する本を読んだことがない人が挫折しない程度に簡単に内容を紹介し、「我々の生活に関係あるんだな」と感じられる程度まで噛み砕いた影響を述べている、といったところでしょうか。

個人的に今年に入って「コーラン」、そしてアメリカ史を建国から現代まで簡単ではありますが追っかけ終わったところだったので、とても面白く読めました。
『イスラーム原理主義の「道しるべ」』は知らなかったので、実際に読んでみたいな、と思います。
ダーウィンとマルクスが同時代の人と言うのも今更知りました。すごい時代だなぁ。

個人的な発行年順のメモ。
本書は話の繋がりの上で変則的な掲載順序になっていますが、実際に発行された年ごとに並べ替えてみるとそれもまた連関が分かるようで面白い気がします。
年数は初版、発表年数。

・聖書
・コーラン
・種の起源(チャールズ・ダーウィン)1859年 イギリス
・資本論(カール・マルクス)1867年 イギリス
・プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(マックス・ウェーバー)1904年 ドイツ
・雇用、利子および貨幣の一般理論(ジョン・M・ケインズ) 1936年 イギリス
・アンネの日記(アンネ・フランク)1947年 オランダ
・沈黙の春(レイチェル・カーソン)1962年 アメリカ
・資本主義と自由(ミルトン・フリードマン)1962年 アメリカ
・イスラーム原理主義の「道しるべ」(サイイド・クトゥブ) 初版1964年 エジプト

その他、面白かったところは以下のようなこと。

・日本で紙を使った生理用ナプキンが作られたきっかけは「アンネの日記」。(アンネ株式会社として「アンネナプキン」が1961年に発売。のち同社は1993年にライオンに吸収合併)
・『マタイによる福音書』と『ルカによる福音書』は、『マルコによる福音書』を参考にしながら書かれたという説が有力。また、それぞれ別にもう一つ資料を見て書いたらしい(見つかっていないので『Q資料』と呼ばれている)
・チェルノブイリはウクライナ語で「苦よもぎ」(ヨハネの黙示録に出てくる水源に落ちた星の名)
・使用価値と交換価値
・ダーウィンのお母さんはウェッジウッドの創業者の娘
・ウエストミンスター寺院の内部の壁や床には歴代の国王が埋葬されている(普通に地下に埋葬されているものだと思っていました…まじか…)
・社会ダーウィニズム(THE 弱肉強食)

 

印象に残ったところ

しかし、イスラエル政府によって壁で包囲されているパレスチナに住む人たちの中にも、日記をつけている少女がいるのではないでしょうか。
ー 42ページ

『聖書』は、世界の歴史を大きく動かした書物ですが、人々が、それによってみんな聖人になれたわけではないのです。
ー 69ページ

 

書籍など

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