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【インド神話】インドにハマっていた時に作った家系図の備忘録

概要

年度末シーズンでしゃかりき働いております。
隙間隙間に、PC買い替え時期が近づいていることもあり溜まりに溜まっているファイルや写真などをデジタル断捨離しているのですが、その最中に出てきた掲題の件を、供養というか備忘録を兼ねてアップしようと思います。

 

きっかけ

数年前に、インド神話というかマハーバーラタにめちゃくちゃにハマっていた時期がありました。
当時元気があまりなかった時期だったのですが、そんな私を見かねてなのか、仲間を増やそうという気持ちだったのかあれですが、小学校からの友人数人が某聖杯をめぐるソシャゲをやろうよ!と勧めてくれたのです。
たぶんインド(のキャラ達)が好きだと思うよ」という的確な分析は外れることもなく、インドのキャラ達にどハマって古参勢である彼女らのサポート受けながら一気に進めていったものです。
(いま一年半ほどストーリー進められておらず、ログインも三カ月ほど出来ていません、ごめんなさい)

※このあたりの記事で回していたガチャはこのゲームです。
20220311_戦争とはいったい何なのか

元々ツタンカーメンから歴史の扉を開いた私、エジプト神話とかギリシャ神話とかだーいすき!だったのですが、インドって全く知らない…。
チベット仏教の展覧会とか観に行ったり、インドカレーが好きなので掛かっている絵がハヌマーンとかガネーシャ様とかシヴァとかそういうのは分かるのですが、逆にいうとそれ以外、成り立ちとかも全然知らない…。
(なおハヌマーンはウルトラマンの映画で知った知識。あの映画小さい頃みて衝撃的過ぎた…)

有難いことに分かりやすい解説本、また「この本がおすすめだよ!」という解説サイトさんもいっぱいある時代だったので、そこにお世話になりながら当時ちょっとだけまとめたものをせっかくなので置いておきます。

 

マハーバーラタとは

マハーバーラタとは、『偉大(マハー)なバラタ族』の物語の意味の古代インドの叙述詩です。
また、ヒンドゥー教の聖典のうちでも重視されるものの一つでもあり、古代の聖人(リシ)たちによって作られた古伝書、「スムリティ(聖伝)」と呼ばれるものにも分類されています。

世界三大叙事詩は以下の3つ。
・マハーバーラタ
・イーリアス
・オデュッセイア

インドの二大叙述詩は以下の2つ。
・マハーバーラタ
・ラーマヤナ

インドの聖典の大きな分類は以下の2つ。
・シュルティ(天啓)
ヴェーダなど古代の聖人(リシ)が神から授かった教え。
・スムリティ(聖伝)
古代の聖人(リシ)たちによって作られた古伝書。
マハーバーラタやラーマヤナはこちらに分類される。

マハーバーラタの内容としては、ざっくりと下記の2つの勢力の争いを描いています。

・カウラヴァ:クル一族の子孫たち
・パーンダヴァ:クル一族のパーンドゥ王の子孫たち

クル族?あれ?『バラタ族』の物語じゃないの?
というところなんですが、この2つはのちに図を出しますが、バラタという祖を元にする末裔のようなものです。
ですので、壬申の乱とか色々あるけれど歴代天皇ひっくるめて「天皇家」と称するのと同じような感覚かなぁ、という感じ…くらいで導入前はいいんじゃないかと思います。

ラーマヤナはラーマ皇子の物語ですが、日本人では天空の城ラピュタでムスカ大佐が「ラーマヤナに出てくるインドラの矢」とかいう文言として知っている方が多いのではないでしょうか。(私はそうでした)

 

簡易年表

本当か?という部分もあるかもしれませんが、大雑把に言われているインドもといバーラタの、マハーバーラタが成立するまでの年表はこんな感じです。
(チャンドラグプタは個人的な声に出して言いたい教科書で習った王様TOP5に入っています。なんか語呂が良くて覚えやすかった)

私はひと様の作った地図を見ながら照らし合わせていたのでアップできる図が無くて申し訳ないのですが、インドの地図と照らし合わせて民族の分布や王国の位置を確認するとめちゃくちゃ面白いです。
Wikipediaの図がすぐ見れて良いと思います。

十六大国 - Wikipedia

マハーバーラタの主要な登場一族である「クル族」というのは、年表上でいうと十王戦争のあたり。ここで勝利側の陣営になったバラタ族とプール族が連合していって形成した一族と言われています。

 

 

 

 

 

家系図もどき

マハーバーラタは国と登場人物がとにかく多いので、家系図が大好きな私はとりあえず家系図を作りました。

でかい…。
これ人が色分けされていて凡例つけるの忘れていたので「何で分けたんだっけな…」とこの記事を書きながら思い出していたのですが、おそらく以下だったはず。

二重枠線:かみさま
黄色の二重枠線:マハーバーラタ内の主要なかみさま
青枠:バラタに到る一族(神族、プール族、バラタ族)
濃い黄色枠:クルの一族(カウラヴァ)
薄い黄色枠:パーンドゥの一族(パーンダヴァ)
赤色枠:マヌの方々とラーマヤナの登場人物群

『バラタ』さんは赤枠のところにいます。
マハーバーラタの主要な登場人物たちはオレンジ色の波線の間のあたり。

マハーバーラタに登場するパーンダヴァ陣営とカウラヴァ陣営。
勝利したのはパーンドゥ王の子にあたるパーンダヴァ陣営になります。
しかし、古代日本の天皇家家系図を見慣れている(?)人は思うでしょう。

「パーンダヴァ陣営、パーンドゥの血も入ってないしバラタ族の血も入ってないやんけ」

そう…某聖杯ゲームでも登場している私の推しアルジュナを始めとしたパーンダヴァの五兄弟。
この五兄弟の実の父はクル王の末裔であるパーンドゥではなく、天上に住む神々なのです。なんてこった。

家系図に対する妄想の話

気になる…マハーバーラタというからにはよく分からんが「バラタ族」の正当性みたいなものが何かあるんだろう…?この系図のままでは辻褄が合わない…合わない…と魘される人がいるのか分かりませんが、私は気になりました。

ここから先は多大な妄想が入ってい参りますので、都市伝説的にお聞きください。

パーンドゥの五兄弟、特にクンティーを母とする三兄弟について。
末っ子のアルジュナの子孫がマハーバーラタのなかで続いていくことを考えると、勝利した陣営の血筋は「クンティーの血筋」と言うこともできると思います。
でも、クンティーには系図をみるとバラタ族の血が入っていない…つながってなくてムズムズする…となるのですが、そのクンティーの上を辿っていくとこうなります。

さらにでかい…。
インドの歴史を感じる系図になってきました。
ここまでくると色分けの記憶がよみがえってきました。

二重枠線:天上の方々
緑枠
:天上の方々のうち、主要なかみさま
赤グラデ枠:ラーマヤナの登場人物群
濃い黄色枠:クルの一族(カウラヴァ)
薄い黄色枠:パーンドゥの一族(パーンダヴァ)青枠:バラタに到る一族(神族、プール族、バラタ族)
赤枠:マヌの方

クンティーの名前が青枠になりました。
彼女の誕生の経緯も色々伝説があるのですが、系図上は実はバラタ王の先祖であるブール族のブールの異母兄弟であるといわれる、ヤドゥに繋がっている…といわれるようです。
ヤドゥがどこかというと、赤枠のところ。

クンティーの兄の子が、ヒンドゥー教で人気のある神様である「クリシュナ」になります。
クリシュナの祖父、クンティーの父に当たる人物が、ヤーダヴァ族の王シューラといわれているため(その間がどうなっているかは謎ですが)、クンティーの父方の系図というのは辿っていくとヤドゥになる感じですね。

系図を整理しているときに妄想したのは、
ラーマヤナに登場するのは太陽神ヴィヴァスバットを祖にする、「マヌ」と言われる人類の祖先にあたる人々の系譜であるのに対し、パーンドゥにしろカウラヴァにしろ、マハーバーラタに登場する人々の共通の祖というのは、チャンドラと呼ばれる月の神だということになろうかと思います。
(ヤドゥとバラタの祖としてはインドラ神としても良いかと思いますが、都市伝説的にはチャンドラのほうが面白いのではないかなと)

マハーバーラタに登場する、カウラヴァ陣営についたアルジュナと対になる英雄としては「カルナ」があげられますが、彼はアルジュナと同じクンティーを母としながらも、父は太陽神である「スーリヤ」になっています。
私は最初に、「なんでスーリヤなのだろうか。ヴィヴァスバットではだめだったのだろうか」と気になったのですが、世界各地および時代に応じて太陽神がたくさんいらっしゃるのと同様に、おそらくヴィヴァスバットとスーリヤは別の派閥により生み出された神なのだろうと思います。

「クル」の一族、と言われるとおり、クル王の系譜にもスーリヤの血が入っているように紹介されている場合もあります。
なので妄想としては、マハーバーラタが成立する時代の前に、月の一族と太陽の一族の混血(融和政策)が何度か行われたけれども、結局はそこは完全に交わることはなく、勝利した陣営のアイデンティティーは月の一族の系譜にあったのだろうな、ということ。
月からやってきた一族、とかそういうことでは無くて、アーリヤ人とドラヴィダ人の歴史に違いないのだろうな、などと思います。

ところで、クンティーの血を軸としてアルジュナを祖とするような流れはいわゆる末子相続なのですが、末子相続の話は古代日本などでも見えるところがあり、このあたりも妄想が膨らみますね。

 

参考文献など

この記事はほぼ妄想なのですが、妄想ではなく真面目にマハーバーラタを知りたいな、という方のための参考文献のご紹介。

日本語で読めるマハーバーラタたち。
聖書と一緒で原本にもいろんな版があり、それの訳としてもいろんなものがあるマハーバーラタ。

・インド神話物語 マハーバーラタ(上・下巻)
デーヴァダッタ・パトナーヤク著、日本語訳は沖田瑞穂氏と村上彩氏が担当されています。
字も大きくて読みやすい。
これが今だと一番手に入りやすいのではないかと思います。

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入門でこちらやネットの上に転がっている分かりやすい解説サイト様を読んでみて、「もっと知りたい!」となったら他の翻訳バージョンも見ていくと面白いと思います。
直近、川尻道哉氏による、マハーバーラタの一番盛り上がるところであろうクライマックスのアルジュナとカルナの一連のお話部分の原典(いわゆる、英語からではなくサンスクリット語からの)翻訳が出ましたが、こちらもおすすめです。

より原典に近いほうで読むなら

川尻氏の翻訳が出る前、クンティーに膝枕をしてもらうカルナという描写があるらしいとQuoraで見かけ、Quoraの海外の方のレビューを読みまくって「どうやら一番今のところ原典に近いものらしい」ということで購入したのがこちら。

Kamala Subramaniam氏によるサンスクリット語から英語への翻訳本。
英語圏ではポピュラーだそうで20周年エディションも出ています。

なんで二冊あるんだ、というのは、これがどうしても読みたくて当時Amazonのインド版のほうにアクセスして左側をドキドキしながらポチり、船便で到着するのを待っている1カ月の間になんと2000円で日本のAmazonのほうに右が出品されて「早く読みたい」という欲に抗えずポチッたためです。
序文がちょっと違いますが、本文に違いはありませんでした。
(なお、当時インドからの郵便物は届かないだの梱包がベコベコだのの口コミがすごくてどうなるかと思ったのですが、一カ月半くらいしたらきれーいに梱包されて届いて感動しました。聖書だったからだろうか)

Amazonさんは運送会社が疲弊したりアレだったりしてきて、ここ数年はメインはなるべく日本の古本屋さんや楽天やヨドバシや実店舗を使うようにしているのですが、洋書はやっぱり強いんだよなぁ…と思ったりします。
このマハーバーラタも今は電子版で200円くらいで読めるようなので、ご興味があればぜひに。

2024/03/20 追記
『Mahabharata』の訳者のお名前が誤っていたので修正しました。
色々バージョンがありますが、以下のものが写真掲載しているものです。訳者:Kamala Subramaniam
出版社:Bharatiya Vidya Bhavan
出版日:2007/1/1
ISBN-10:8172764057

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