雑記

【資格試験】準デジタル・アーキビスト講座を受講しました。

先月、準デジタル・アーキビスト講習を受けました。無事試験も受かったので備忘録です。

デジタルアーキビストとは

そもそもデジタルアーキビストとはなにかというと…

デジタル・アーキビストとは、文化資料等のデジタル化についての知識と技能を持ち合わせ、文化活動の基礎としての著作権・プライバシーを理解し、総合的な文化情報の収集・管理・保護・活用・創造を担当できる人のことを言います。
(日本デジタル・アーキビスト資格認定機構 HPより)

という人のことを指すそうで。
具体的には、デジタルアーキビストには、以下の3つの能力が求められます。

1)文化の理解
2)デジタル化の技術
3)法的理解と倫理

なにを「デジタルアーカイブ」のコンテンツとするべきか、どういった形で残して、どうやって活用していくか…その技術はどういったものを使うか、コンテンツの権利処理はどうするか…など、一連の作業に対する知識が求められます。

なお、1)については、「文化に限らず、その対象への理解も当然無くてはならない」と、今回の講座では言われていて、仰るとおりだなぁと思いました。
ちなみに、公式サイトではちょっと難しく書かれていますが、下記のサイトは子どもを対象としているのでとっても分かりやすい&簡潔でした!

こどもたちによるデジタルアーカイブづくり

言ってしまえば、「デジタルアーカイブ」というのは手法に名前をつけただけであって、なにも真新しいものはないのですね。
デジタルアーカイブとは、あるコンテンツを保存活用していくための「フレームワーク」だと理解しています。
とあることで去年調べていてこの概念や資格のことを知ったのですが、私はこの、デジタルアーカイブには随分昔に出会っていました。
それが「近代デジタルライブラリー」です。(いつの間にか、国立国会図書館のほかのシステムと合併されていますが)

近代デジタルライブラリー – 国立国会図書館

私は高校を卒業するまで片田舎にいたのですが、場所にもよるのでしょうけど…全然「資料」というものが無かったのです。大学入試のレポートを書くために町に唯一ある図書館に行って、「吾妻鏡」を借りようとしたのですが、無かった…。
当時、吾妻鏡がどんなものか私知りませんでした。そして図書館の職員の人も知りませんでした…。(司書さんじゃないから)。
2人で「多分源氏物語とかその辺にあるのでは…」と狭い図書館を探し回ったのがいい思い出です。

ちょうどこの頃、私は中世史から幕末にはまりはじめ、ようやくネットが電話回線から月額使い放題になった時代でもあり、ネサフしては幕末のサイトを見て回っていました。そしたら、どんどん出てくるのですよ、資料の名前が!私も読んでみたい!と当然思うのですよ!でも図書館には当然置いてないのです…。
通販で買うにしても、当時高校生の私にはとても手が届かないお値段。

そんなしょんぼりしていたときに出会ったのが、近デジでした。
もう!時間を忘れて!!
漢詩等は読めなかったので、平文化されているものだけしか見ていませんでしたが、とにかく感動で!!
なんて素晴らしいシステムなんだ!!とずっとお世話になっていました。

ただのインターネットのサイトではダメなのです。Wikipediaでもダメなのです。
ちょっと考えてみると、つまりは論文やらなにやらを書こうとしたときに、「引用元」としてきちんと書くことかできる、出典場所や著者(責任者)が明確に分かるもの。
ある日覗いたら突然「404 NotFound」とか出ちゃうサイトやブログの情報ではなく、常にそこにある、継続性が保証された、確かなコンテンツ。
それを「アーカイブ」したものが、ここでいう「デジタルアーカイブ」を構成するものになります。


デジタルアーキビスト(またはアーキビストも含む)の職務とは、主に下記の3つになるそうです。

1)失われつつある過去の記録遺産を守る仕事
2)保存された過去の記録遺産を現代に活用する仕事
3)現代の記録を明日への遺産として伝えていく仕事
(準デジタルアーキビスト 公式ムックより)

私はこれを見たときに、「あぁ!私のやりたいことだ!」と、ものすごく嬉しくなりました。
勿論、学芸員や司書さんといった、専門のお仕事についている方に比べれば、ままごとのようで、できることにも限りがあります。でも、これが私の「夢」の具体的な形なのですねぇ。

資格を取るつもりは最初無かったのですが、これはちゃんと学んでみたいなぁと思って、今回受講したのでした。

 

準デジタルアーキビスト講座

今回は、資格講座と併せて、前日に「冊子のデジタル化講座」というものもあったので、2日間受けてきました。
講座自体は、今回に限らず評価は真っ二つだと思います。
というのは、とても専門的で各講座の分野に実際に携わる人たちからしたら実践的で勉強になると思いますが、それ以外の人からしたら、「なんとなく分かった」で終わってしまうのかなぁと思いました。

かくいう私は、撮影方法は学芸員の資格をとったのでなんとなく知っていましたが、カメラのピントとかそういうのは全く機会オンチだったので勉強になりました。カメラ好きの人はかなり面白かったんじゃないかなぁと。

ちなみに今年から、デジタルアーキビスト系の資格はアップグレードする際にこの講座を数回受ければOKになったのですが、そうすると資格取得者間のレベル差がすごいことになると思うので、準デジタルアーキビストからデジタルアーキビストへ上がるのは今まで通り講座&レポート&試験でいいんじゃないかなぁ…と。
(おそらく、準デジタルアーキビストは後述しますが、取らせてなんぼな資格なので、ちょっと学んだ人はデジタルアーキビストになり、上級デジタルアーキビストが本当のスペシャリスト、という格付けにしていきたいのかなぁと思いました)

ただ、特別認定講習会というのが年に1回ほどあるらしく、デジタルアーカイブに興味があればそれはどなたが受けても収穫がありそうな感じだなぁと思いました。今度は来年の2月にあるそうで、講座自体は資格を持っていなくても受講自由なので興味がある方は協会のHPへGOです。

日本デジタル・アーキビスト資格認定機構

*2016/12/18 追記*
今は講座開催されていないようです。残念。

準デジタル・アーキビストの資格講習は、1日がかりです。
最後の1時間で試験対策を、最後の最後の1時間で試験になります。今回の試験内容は、四択が6問、穴埋め選択肢が1問(穴埋めは5箇所ほど)、記述が3問の計10問でした。
内訳はうろ覚えですが・・・

・文化財保護法に規定されていない文化財はどれかの四択。
・著作隣接権(過去問そのまま)の四択。
・撮影(機材の使い方)に関する四択。
・シソーラス(BT、NT、RT) 「コンピュータ」を例にしての四択。
・あるサイズの画像をあるサイズのディスプレイに映したときのdpiの四択。
・SQL(AND、NOT、OR) 過去問そのままの四択。
・インターネットセキュリティに関する穴埋め問題。
・可逆圧縮と非可逆圧縮の違いについての記述問題
・ホワイトバランスはなぜ調整しなければならないかの記述問題。
・著作権に関して、無方式主義と方式主義の記述問題。

講義でほとんど出ているので、ちゃんとテキストで予習して、講座をきちんを聞いていれば基本的にOKです。
私は一応学芸員資格もあり、情報系のお仕事をしているので、逆に受からねばまずい…とプレッシャーだったのですが、おかげさまで楽勝でした。
印象としては、dpiの計算部分と、画像圧縮の話で「???」になっている人が多かった気がします。受講者はほとんどミュージアム勤務の方(もしくはそれに準じる役所の方)のようだったので、確かにちょっと難しいのかも…と思いました。

ちなみに講座は面白かったです!
胸熱なお話もたくさん聞けて、正直受講前まで「こんな受講料だけ高くて色々大丈夫なのか…」と思っていたけれど、この資格もひとつの「手法」ということをきちんと説明されていてホっとした。
「準」なんてようやく入り口にたったようなもので、「準」がとれても、この資格は取っただけでは正直あまり意味が無くて、自分が活かさなければなんにもならないものでしょう。でも、資格の趣旨に共感できる方ならば、どのようにその熱意を活かしていけば良いかという指針を得る意味で、きっと受けて損は無いと私は思います。

何年かかってもいいから、少しずつ夢を形にしていけたらいいなぁ!

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