気分転換したいなーと思い、急遽博物館へ行こうと思い立ったのですが、大神社展の展示品が目新しいものがなかったので、閉会直前のラファエロ展(東京・国立西洋美術館)に行ってきました。
閉会間際だったこともあり、混んでおり40分待ちでしたが、列の進みは速かったのでそこまで気になりませんでした。
ラファエロ展
ラファエロ(1483年-1520年)は、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロとともに、盛期ルネサンスの三大巨匠と呼ばれる、イタリアの画家です。
名前だけは知っていましたが、私は美術系にはものすごく疎いので、「ラファエロの展示がこれだけ大規模で来るのは日本初らしいから、ちょっと予習するかな…」と、行く前にWikipediaでさらっと見ていったのですが、37歳で亡くなっていたとは知らなかったなぁ。
今回のリーフレットと入場チケット(当日券)
美術館系のリーフレットは、博物館に比べて圧倒的にオシャレです。
裏面。
大体このように開けます。今回は縦長。
大昔のルーブル美術館のときは、広げるとものすごいでかいポスターになるやつもありました。
今回の展示の目玉は、この一番上に載っている「大公の聖母」。
18世紀にトスカーナ大公であったハプスブルク家のフェルナンド3世が愛蔵し、決して手もとから離さなかったことからそう呼ばれている、聖母マリアとキリストの絵です。
これは会場で説明版がありますが、元々背景は黒ではなかったそうです。聖母子の画家と知られるラファエロの聖母子画でも、背景が真っ黒、というのは無いそうで、これが特に異色だとか。以前から調査されていたそうですが、今回の展示にあたって、X線をあてたところ、はっきりと背景に小窓が描かれていることが分かったらしく。背景が黒の絵画が流行った時期に、ラファエロの背景画を誰かが上から塗りつぶしたのではないか、と見られています。
音声ガイドを今回借りたのですが、その中の別の絵の解説で言っていたのですけれど、ラファエロは服のハイライトに「金」色を使うそうなのですね。この聖母子像もそうです。背景が真っ黒、闇の中から浮かび上がる柔らかい聖母子像は確かに美しいですが、ラファエロの元々の絵も見てみたかったなぁ。
今回の展示は、四部構成になっています。
1 画家への一歩
2 フィレンツェのラファエロ(レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロとの出会い)
3 ローマのラファエロ(教皇をとりこにした美)
4 ラファエロの継承者たち
61点の出品のうち、数十点はラファエロ以外の人のものになっています。
4部の「ラファエロの継承者たち」はラファエロの弟子や影響を受けた人たちの作品となっており、物足りない人もいるかもしれませんね。
ただ、ラファエロの絵がどこからどういう影響を受けて、後世どのような影響を与えたのか…ということが見えるような気もするので、そういった面では面白いと思います。
ラファエロ展ー音声ガイド
<音声ガイド>
・プロローグ
・自画像(ラファエロ)
・聖ユスティナ(ペルジーノ)
・父なる神、聖母マリア(ラファエロ)
・幼児洗礼者ヨハネと聖母子(ピントリッキオ)
・聖セバスティアヌス(ラファエロ)
・聖ゲオルギウスと竜(ラファエロ)
・無口な女(ラ・ムータ)(ラファエロ)
・聖家族と仔羊(ラファエロ)
・死せるキリストの運搬(カヴァリエル・ダルピーノ)
・信仰(ラファエロ)
・プットーとグリフォンを表したフリーズ(ラファエロの工房)
・聖母子(ラファエロ)
・大公の聖母(ラファエロ)
・聖ステパノの殉教(下絵:ラファエロ、織り:ピーテル・ファン・アールスト工房)
・ムーサの頭部(ラファエロ)
・牢獄から解放される聖ペテロ(フェデリッコ・ズッカリ)
・友人のいる自画像(ラファエロ)
・パリスの審判(マルカントニオ・ライモンディ)
・エゼキエルの幻視(ラファエロ)
・女性の肖像(ラ・フォルナリーナ)(セバスティアーノ・デル・ピオンボ)
・聖母子(ジュリオ・ロマーノ)
・ガラテイアの凱旋(マルコ・デンテ)
・《ガラテイアの凱旋》の描かれた水盤(ウルビーノ窯、フォンターナ工房)
・聖母子(ペリン・デル・ヴァーガ)
今回音声ガイドを借りてみて、満足度は普通でした。
20作品のガイドがあったのですが、展示が61なのでおよそ3分の1。歩くとすぐに次の音声ガイド、といった感じで、空いていればよいのですが、激混みだったのであまり浸れませんでした…。
そして1作品の解説が長い長い。とても全部聴きながら作品の前に止まっていられません…(だから作品の前で混んでいたのかもしれませんが…)
個人的に、「牢獄から解放される聖ペテロ」のラファエロの絵が見たくなって、帰ってきてからネサフしてみたのですが、ラファエロのものはローマのヴァティカン宮のヘリオドロスの間に描かれているそう。
フェデリッコのものは格子窓の部分のみが描かれていますが、ラファエロのものは格子部分を中央に持ってきて、牢獄全体を描いているのですね。牢獄の中で光り輝く天使と、その様子を外から見守る天使の輝きが確かにフェデリッコのものより、落ち着いているのにまとまっていてとても「神々しい」、という印象を素人ながら受けました。実物見てみたくなっちゃいますね!
博物館に行くと毎回クリアファイルを買ってしまうのですが、今回も1つ購入。
聖母子の面と、
ラファエロ自画像の面。
母親へルピシアの紅茶を買っていこうと思ったのですが、聖母子の絵の缶がもう売り切れらしく、ラファエロの缶しかなくて、止めました。大量のラファエロがこちらを見ているのはなんだか不思議な気分になりましたが、「美青年」と言われたラファエロなのに、やっぱり聖母子のほうが人気があるんだなぁ…とミュージアムショップで切ない気分になりました。
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