【覚書】蔵書を預かってもらえる東京書庫のサービスを利用してみました

2年前、引っ越しをしたのを機に状態の悪い古書を蔵書管理サービスに預けようと考え、「蔵之助」というサービスを利用しました。利用して数年経ったので、体験談を書こうと思います。

蔵之助とは

蔵之助とは、埼玉県川越に本社を置く東京書庫が提供している、燻蒸付の蔵書保存サービスです。

書籍保管・書類保管の専門倉庫は東京書庫株式会社

書籍保管・書類保管の専門倉庫「プライベート図書館」として、本・書類の保管、整理、収納を月額210円~ご利用頂けます。さら…

入庫時に書籍は燻蒸を受け、温度は20℃から±5℃、湿度は50%より±5%に保たれた、空調完備の倉庫にて保存がされます。初期費用は下記の通りで、合計すると8300円。以降は1年毎に4800円です。

燻蒸費:3000円
回収費:1330円(※関東の場合)
保存費:4800円/1年
*2021/08/14 追記*
回収費を改定。現時点での価格のため、最新価格はHPをご確認ください。
倉庫から出庫をお願いする場合は、保存用の箱:2400円/1箱分と、送料(回収費と同じ)がかかります。
東京書庫に伺えば、1ケース200円で閲覧することができます。

私がここを選んだポイントは、倉庫の性能を公表していることと、燻蒸を行ってくれるという2点です。
保存料の4800円は高いとみるか安いとみるかですが、本を気遣ってエアコンをかけっぱなしにしたり、自分で風通しをする手間がなくなると思えば、私にとっては安いものでした。
(ただ、1箱にはつめ放題なので、もっとつめればよかった…と今は思います)

HPから手続きをすると、入庫に必要な段ボールと、書類が一式送られてきます。
段ボールを自分で組み立てて、そこに入るだけ本を詰めてOKです。


チェックリスト。
箱に詰めた本を、自分で数えてここに書きます。


入庫が終わると送られてくる書類。
本の写真が一緒に送られてくるのが嬉しかったです。
私がこのとき預けたのは、次の6冊。

小梅日記(1~3巻)

小梅日記(1) [ 川合小梅 ]

価格:2,592円
(2015/12/13 21:11時点)
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伊達宗光の出身地、紀州和歌山の女性、川合小梅の日記。幕末から明治末まで存命し、70年近く日記を残しました。鳥尾小弥太の禅の師匠は宗光の父、伊達宗広(自得翁)。また、鳥尾も関わった明治初期に紀州和歌山藩で行われた軍政改革の指揮者である津田出、この二人に関する記述もみられることから購入。
しかし買ったものの状態が残念ながら悪く…だんだん新しく買いなおしたほうがいいんじゃないかという気がしてきています。

2冊目。
阪下義挙録 - 近代デジタルライブラリー
近デジで公開されていたのでリンクを貼っておきました。
桜田門外の変でかすみますが、老中安藤信正を江戸城阪下門に襲撃した事件の本です。
これに加わっている河本正安という人物が、新潟県十日町の出身であるということから追いかけていて、その関係で購入。なんと本物かどうか分かりませんが、頭蓋骨の写真まで載ってます笑
河本は久坂とも交流があり、残っている二人のエピソードはなかなか面白いものばかりです。
これも購入したものの状態が非常に悪かった。

3冊目。
高杉晋作 - 近代デジタルライブラリー
これも近デジで公開されていたのでリンクを貼っておきました。
マツノ書店さんで買ったと思いますが、松下村塾の門下生、横山健堂が書いた高杉晋作本。
これも状態が少し悪かったので、預けました。

もう1冊は、恥ずかしいことに書名を忘れてしまったのですが、西郷従道の本。
西郷隆盛の弟のこの人物、私実は大好きで大好きで…。兄に比べて出ている本が少ないので、小躍りして入手した本だったのですが…。(安田直の西郷従道かと思ったのですが、みたら表紙こんなんじゃなかったような…)
伊藤博文と一緒に、岡山のほうの湾を埋立する際に見に行って、沼地だから人足におんぶされて渡ったとか、すごい可愛いエピソードがいっぱい詰まっていた本でした。
これも状態が悪くて。

2年近く預かっていただいてとてもよかったので、今年は本を整理したかったこともあり、他の蔵書も一気に預かってもらうことにしました。

ブック・キープサービス

私が頼んだのは、ブックキープサービス プラスという、蔵書のリストも作ってくれて、1冊毎に取り出し可能、家まで郵送してくれる(有料)ものです。
申し込み時、キャンペーンをやっていて、GOLDBOXというものがでていたので、それを申し込みました。(延長で、まだやっているみたいです)

こちらは蔵之助と違い、燻蒸もなく、厳密な温度、湿度管理もありません。
これが気になって、申し込み前に、「倉庫は夏場30度以上になるのでは?」と問い合わせをしたところ、「夏場でも30度以下です」と回答をいただきました。

東京書庫は、国土交通省の優良トランクルームの認定を受けており、これを売りにしています。問い合わせの結果でも、これを根拠に「安心してください」、と言われたのですが、こいつが実はちょっと曲者です。

倉庫業法 - 国土交通省
優良トランクルームの認定 - e-Gov

優良トランクルーム(認定トランクルーム)とは、トランクルームを営む業者のなかで、一定の認定基準を満たすトランクルームに対して、国土交通省が出す合格証みたいなもの。
審査基準はe-Govに掲載されているものを引用すると、以下の通り。

1.トランクルームの施設及び設備が倉庫業法施行規則第21条第1項に規定する基準を満たすこと。
2.トランクルームにおいて行われる保管が、倉庫業法第25条の4第1項第2号に規定する基準を満たすこと。
3.トランクルームにおいて行われる営業が倉庫業法施行規則第21条第2項に規定する基準を満たすこと。

参照している1つめの倉庫業法施行規則第21条第1項は、以下の通り。

第二十一条  法第二十五条の四第一項第一号 のトランクルーム(一類倉庫に該当するものに限る。)の施設及び設備の基準は、次の各号に掲げる物品の種類ごとに、それぞれ当該各号に定める性能を有するものとして国土交通大臣の定める基準を満たしていることとする。
一  酒類その他の温度により変質しやすい物品 定温性能
二  漆器類その他の湿度により変質しやすい物品 定湿性能
三  精密機械、楽器その他の粉塵からの保護を必要とする物品 防塵性能
四  絹製品、毛皮類その他の害虫による被害を受けやすい物品 防虫性能
五  磁気テープ、磁気ディスクその他の磁気による影響を受けやすい物品 防磁性能
六  温度又は湿度により変質し難い物品又は第一号から前号までの性能を有するトランクルームにおける保管を行う必要がないものとして寄託者の同意の得られた物品 常温及び常湿性能

2つめの倉庫業法第25条の4第1項第2号は、以下の通り。

第二十五条の四  国土交通大臣は、第二十五条の二の規定による認定の申請が次に掲げる基準に適合すると認めるときでなければ、第二十五条の認定をしてはならない。
一  当該トランクルームの施設及び設備が保管する物品の種類に応じて国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
二  当該トランクルームにおいて行われる保管が標準トランクルーム寄託約款と同等の内容又はこれよりも消費者に有利な内容を有するトランクルーム寄託約款に基づき行われるものであること。
三  前二号に掲げるもののほか、当該トランクルームにおいて行われる営業が消費者の利益を保護するために特に必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
2  国土交通大臣は、第二十五条の認定をした場合においては、遅滞なく、その旨を申請者に通知するとともに、その旨を公示しなければならない。
3  国土交通大臣は、第二十五条の二の規定による認定の申請が第一項の基準に適合しないと認める場合においては、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければならない。

3つ目の倉庫業法施行規則第21条第2項は、以下の通り。

2  法第二十五条の四第一項第三号 のトランクルームにおいて行われる営業の基準は、次のとおりとする。
一  営業所ごとに、トランクルームの利用者からの相談の窓口が置かれていること。
二  相談窓口にトランクルームの営業に係る必要な知識及び能力を有している者が置かれていること。
三  申請者が寄託契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかでないことその他トランクルームにおいて行われる営業が消費者の利益の保護を図るものとして不適当であると認められないこと。

色々探してみましたが、各分野別にどのくらいが適温、適湿なのか、基準は公表されていません。また、優良トランクルームの認定は1棟(1区画)毎であり、申請書記入例の見本をみればわかるとおり、全体の一部分に対して受けることも可能です。

東京書庫の場合は、「蔵之助」については「定温・定湿」と言っている通り、温度、湿度とも24時間365日監視され、またその基準も公開されており、ここが優良トランクルーム認定を受けている区画であることは間違いないでしょう。
一方、ブックキープサービスの保存対象場所である倉庫に対しては、「常温・常湿」と記載されています。これが問い合わせをした要因で、空調設備を設けていない場合にこの表現をされます。温度、湿度が明示されていないことからも、おそらくここは優良トランクルーム認定外なのではないかと、私は思っています。(または、第21条第1項の6に当てはまるということで認定を受けている可能性)

ただ、今回問い合わせをして、「夏でも30度以下です」、温度、そして湿度も、「文書保存に適した」条件で保管されている、と回答をいただいているので、それを信じます。
あくまで信じるレベルです。ほかのトランクルームを調べてもらえばわかりますが、段ボール1つ分だからといっても、東京書庫さんは安すぎます。でも、私としては、蔵之助で2年預かってもらったその管理状態と、ほかに一般倉庫を利用している人の口コミをみて、少なくとも預けて大丈夫だ、と思いました。

ブックキープサービスも、チェックリストが入ってきます。
こちらは蔵之助と違い、1冊ずつ書名を書く必要はなく、合計冊数のみでOKです。

段ボールに詰められるだけ本をつめ、梱包します。
伝票を貼って、HPから回収申し込みをすると、郵便局が取りに来てくれます。(ちなみに、今のところ2回取りに来てもらいましたが、最初にきたときは伝票をどうやって処理していいか分からず、戸惑っていました…)

東京書庫のいいところは、入庫されると、「入庫しましたよー」と毎回はがきで連絡をくれることです。小さいことですが、嬉しいです。
手続きがすべて済むと、回収費の明細がきます。(私はクレジット支払なので、明細のみ)
その後、ブックキーププラスは蔵書リストの作成がオプションでついているので、リストの作成が済むと、CD-ROMで送られてきます。

このリスト、まだ確認していないのですが、専用のツールをDLしないと使えないようです。クラウドで見れるようになると、もっといいのになーと思います。
調べ不足だったのは、A4サイズを超える雑誌、図録系を段ボールにたてて梱包しようとすると、大きいものが入らないこと。平積みで保存されるのは嫌だったので、雑誌系だけはどうしたもんかと、今まだ家にあります。
ほんとどうしたもんかなー。

*2016/2/28 追記*
先日、東京書庫さんに預けた本の話をしたのですが、今まで送った本のリストが全部出来上がって送られてきました!
冊数は、453冊だそうです。意外と少ないですね。
結局雑誌類も、気持ち少し立てて預けさせてもらいました。

送って家の中がだいぶすっきりして、あとは雑誌論文のコピーや、仕事で使う書籍類、読んだら売ってしまおうと思っている本などのみになりました。雑誌論文のコピーはA4、B5などはすべてPDF化して捨てているので、規格以外のやつが残っているのですが、これも今年中に電子化してしまいたいなー。

*2021/08/14 追記*
現在では蔵書についてCD-ROMではなくオンライン上で確認することができるシステムがリリースされています。