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【博物館】岩崎コレクション~孔子から浮世絵まで(2014/08/20~2014/12/26)東洋文庫ミュージアム

今年もご訪問いただきありがとうございました。今年最後の更新です!皆様良いお歳を…。
先週、東京駒込の東洋文庫ミュージアムに、後期の会期終了直前に行ってきました!モリソン書庫、ものすごく素敵でした―!

東洋文庫

東洋文庫ミュージアム - 東洋文庫公式HP

東洋文庫は、1924年に三菱第三代当主の「岩崎久彌」が設立した、東洋学の専門図書館ならびに研究所です。
今回訪問した「東洋文庫ミュージアム」は、2011年に「もっと東洋文庫を知ってもらおう」ということで開館された、比較的新しい博物館となっています。

駒込駅から徒歩5分程度。今回初めて行きました!
館内にはロッカー(100円で、後で返ってきます)やトイレもありますが、数が少ないので混雑しているときはいっぱいの場合も…。

ユニークなのは、入館証としてシールをもらえること。これを係の人から見える位置に貼っておきます。
入館料は900円とちょっとお高いのですが、企画展示室以外は写真撮影OKということなのでうれしい。また、1回料金を払うと1日何回でも出入り自由ということで、観覧してから途中で外のカフェでご飯をたべて、また観覧…ということができるのもいいですね。

 

1階

東洋文庫は5階建て(6階だったかも…)で、1階、2階がミュージアム、3階が閲覧室、それより上は研究室になっているそうで。
1階には「オリエント・カフェ」というレストランが併設されているのですが、私たちが行った日は予約のお客さんですでにいっぱいだったみたい…。貸切されてる日も結構あるみたいなので、こちらでお茶をするつもりで出かける方は予約をしておいたほうが確実そうです。

これは1階のフロア付きあたりから、入口方面を向いた写真。
1階は壁に大きな壁面ガラスケースがあり、そこに、収蔵品のなかからその時々のテーマにそったものが展示されています。


じゃじゃん!


ラフカディオ・ハーンこと小泉八雲の直筆書簡です!


宛先は日本語学研究家であった、イギリス人のチェンバレン。2人とも外国人でありながら、日本語で封筒を書いているところがなんとも素敵ですね。日本への愛を感じますv

個人的に興味をひかれたデジタルアーカイブ作業。

この1階、「フラッシュ禁止・撮影可」の看板が出ていたのですが、こんな一次資料が出ていたのでびっくりしすぎて友人と「ほんとに撮っていいんだろうか…」とものすごくビクビクしていました…。半信半疑すぎて最終的に係の人に「ほんとに撮っていいんですか…?」と聞きにいく始末。
結果、企画展の部屋以外は撮っていいそうで!
と、いうことは…。

 

2階

モリソン書庫!
こちらの写真も撮り放題…幸せすぎる~!!

そもそも東洋文庫設立の背景は、ジョージ・アーネスト・モリソンという、ロンドンタイムズの駐在北京記者が、北京で20年間の間に集めた極東に関する2万冊にもおよぶ蔵書にあります。
このモリソン氏、北京を離れることになった際、さすがに2万もの本を持って帰るのは無理だと思い、誰かに譲ろうと思い立ちました。モリソン氏が集めた蔵書については当時の世界各国の図書館が興味を持っていましたが、モリソン氏の出した譲渡条件を満たすことができず、みな足踏みしていました。
その条件とは、以下の2つ…。

①すべての本をまとめて購入すること
②購入は一括前払い

今のお金に換算すると、約70億ほどになったんだとか。それを一括で支払うこと、また膨大な蔵書をすべて引き取ること、というのはやはり大変のようですね。

この購入に際し、岩崎久彌に助力を求めたのが、大蔵大臣ならびに日本銀行総裁などを務めた井上準之助でした。井上の申し出に対し、久彌は快諾し、70億キャッシュで支払ったといわれています。すごい…。
このモリソンの蔵書に、久彌自身が集めた文献を加えて、東洋文庫が設立されました。いわばモリソン書庫は、東洋文庫の中枢です。

入口付近に展示されている、東方見聞録。

よくみると赤文字が。これは章の先頭なのだそうです。

東方見聞録は、マルコポーロの生きていた当時とその後しばらくは、口頭伝承のような形をとっていたそうで、徐々に書籍として形にされるも、最初は手書きの本でした。それが印刷技術の普及とともに、印刷本が流通し始めましたが、その初期のものはこの展示物のように、手書きでまだ補足をしていたそうです。

本が手書きから印刷本へ…そんな過渡期をこの1冊から感じられますね!
ちなみに開いてあったページにチンパグがあったのですが、みんなで以下に行ったあとだったのでテンションの上がりようがすごかった(笑)

國學院大學博物館 企画展 ジパングへの途ー西洋古地図に描かれた極東像ー

 

このモリソン書庫、および東洋文庫ミュージアムのすべての書籍は、現在も貸出することが可能な書籍となっています。モリソン書庫に関しては脚立が置いてあることでもわかるように、実際に開館している時間内で係の人が出庫作業をすることもあるそうです。(私たちが行った日は残念ながらありませんでしたが…)

良く見てみると、確かにすべての本に管理番号のシールが貼ってあります。
このように、実際に活用しながら展示する手法のことを「環境再現型展示」といいます。動物園なども大きく分けるとこの展示手法になりますね!

照明は屋根からの自然採光(でもちゃんと本に直射日光がかからないようになっている)と、本棚の天井部分にちょっとだけライトが。薄暗いけれど、それもまた雰囲気があって素敵です。

文化財を守りながら、ミュージアムとしても図書館としても機能する、すごい空間です。

このほか、2階は、東洋文庫の名品を展示する展示室、回顧の路、ディスカバリールームと続きます。
あとで貰って来た展示目録見て気付いたのですが、回顧の路にも展示物があったのですね…(エントランスのところだけかな?)。クレバスに夢中で全然横を観ていませんでした…。
クレバス・エフェクトは写真が東洋文庫のHPにありますのでぜひご覧ください。今年の10月に特許が下りたそうです!

あとはエンカウンタビジョンという、東洋文庫の名品を展示する展示室の中にある、ちょっとした小部屋みたいなところで上映されてる映像の仕組みが分からなくて友人とものすごい見てました(笑)上のぞいたら映像が出てたので、ハコビジョンみたいなもんですかね?

ディスカバリールームでは浮世絵の展示中で、今回は18歳以上は入室禁止…。いやはや、浮世絵と春画は切っても切り離せないですね。

ざーっとみると、そんなに広くないので1時間ほどあれば見て回れます。
私たちは1時間ほど見て回ったあとに、文庫員ガイドツアーを40分聞きながら再度施設を廻りましたので、正味2時間くらいかかったかな?
東洋文庫は音声ガイドが無い代わりに、各作品から音声が流れてきたりするのですが一部だけで、その点このガイドツアーでは展示品にまつわる小ネタも交えて教えてもらえるので面白かったです^^

浮世絵の極め印というのをはじめて知りまして、今度から浮世絵見て回る時に注目して見よー!!

 

お土産


今回買ったお土産たちです!全部で2520円。


こちらはクリスマスプレゼント用に購入したお菓子。
チーズとシナモンのクッキー。1個600円。
久彌氏が小岩井農場の経営に関わっていたこともあり、小岩井農場グッズが売っていました。


こちらはモリソン蔵書票のしおり!
久彌氏は、モリソンから購入した蔵書と、その後購入した書籍の区別がつくように、モリソンから譲りうけた書籍にはこの蔵書票を貼って一別できるようにしたそうです。


裏面。色は今回買った緋色、ベージュの他、紺色と黒の4種類。
1個380円!


こちらはクリアファイル!
お値段はなんと蔵書票より安くて1個280円。こんなに可愛いのに…!!お得…!!


イアパンです(笑)
この頃はまだ韓国が島なのか大陸続きなのか分かってなかったのですね!
こっちの話に興味がある方はぜひ「國學院大學博物館 企画展 ジパングへの途ー西洋古地図に描かれた極東像ー」へどうぞー!

今回の展示リスト

■オリエントホール
竹取物語
古事記
百人一首
源氏物語(×2)
おくのほそ道
枕草子
ハーンとチェンバレンの往復書簡
三国志演義(満州語本) … これ、中国語と満州語が並列して書いてあって面白かった!
金雲翹新傳
スジャラ・ムラユ
テイパンマウンワの著作
プラアパイマニー
マハーバーラタ
マナス
ルバイヤート
アラビアンナイト
初恋

■モリソン書庫 岩崎コレクション①
東方見聞録 1485年 アントワープ刊 ラテン語
東方見聞録 1671年 ケルン刊 ラテン語
東方見聞録 1664年 アムステルダム刊 オランダ語
イエスズ会士通信日本年報
重要文化財 ドチリーナ・キリシタン
サクラメンタ概要
聖教精華(キリシタン版)
NIPPON(日本)
日本植物誌
日本動物誌

■回顧の路
色絵鳥兜形香炉
色絵源氏香透し冠形香炉
製本道具
縄文土器

■東洋文庫の名品 岩崎コレクション②
国宝 文選集注 巻六十八
重要文化財 論語集解
重要文化財 礼記正義
梵語千字文
雪竇明覚大師語録
節用集
解体新書(エンカウンタービジョン)
ターヘル・アナトミア(エンカウンタービジョン)
ペリー久里浜上陸図(デジタルブック)
名所江戸百景(デジタルブック)
百万塔陀羅尼
日本書紀(後陽成天皇勅版)
伊勢物語(嵯峨本) … 豪華本。日本でここだけしかないのだそうです。
百人一首
徒然草(嵯峨本)
源氏物語
お伽草子
風俗金魚傳

■ディスカバリールーム 岩崎コレクション③
歌仙界合和歌
浦島太郎物語
四十二の物争い
花鳥風月
文正草子
吉原大雑書
浮世族絵尽
黄素妙論
西川岡之助
人形を遣う辰松八郎兵衛
二代目市川海老蔵の五関破
三代目大谷広次と初代中村松江
芝居狂言舞台顔見せ大浮絵
文を書く遊女
やつし費長房
鈴木春信春画貼込帖
机による遊女(やつし関羽)
庭を見る遊女と禿
墨水八景 今戸橋の晴嵐
閨花鳥襷
袖の巻
駿河町越後屋正月風景
芸子坐舗狂言 姫小松子の日遊
青楼美人合姿鏡
忠臣蔵七段目
好色図会十二候
錦織歌麿形新模様 うちかけ

錦織歌麿形新模様 うちかけ
この浮世絵、保存状態が良くてうちかけの色がきれいに残っています。東洋文庫以外のこうしたうちかけ絵は、絵具が経年劣化で白くなっていたので、こうした絵はずっと「白うちかけ」と呼ばれていたのだそうです。おもしろいですね。

咲分ケ言葉の花おしゃべり、にくまれ盛り
百千鳥狂歌合
三代目坂東彦三郎の鷲坂佐内
錦擦女三十六歌仙
小舟町天王祭礼図
夏宵遊興図
風流挿花会
丸木橋を渡る女たち
華月帖
書物袋絵外題集
岡場所風俗図志
正写相生源氏
観物画譜
五十三次名所図会
名所江戸百景
富士三十六景
東海道細見大絵図
諸国瀧廻り
富嶽百景
偶定連夜好(縁結出雲杉)

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