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【博物館】特別展 黄金のアフガニスタン―守りぬかれたシルクロードの秘宝―東京国立博物館(2016/04/12~2016/06/19)

概要

今日閉幕した、上野の東京国立博物館の「特別展 黄金のアフガニスタン―守りぬかれたシルクロードの秘宝―」展に先日行ってきましたので備忘録。会場の入り口には、アフガニスタン国立博物館入口に掲げられたメッセージど同様のものが飾られていました。

黄金のアフガニスタン

シルクロードの時代より昔から、「文明の十字路」として栄えた古代アフガニスタン。
近年の内戦などにより、失われていたと思われていた、その数々の文化財たちが一堂に会しました。

特別展「黄金のアフガニスタン-守りぬかれたシルクロードの秘宝-」
古くから『文明の十字路』として栄え、シルクロードの拠点として発展したアフガニスタン。その北部に点在する古代遺跡で発掘された貴重な文化財は、アフガニスタン国立博物館を代表する収蔵品となっていました。1979年のソ連による軍事介入やそれに続く内...

世界各国を巡っているこの至宝たちは、国内では東京に先立ち、春に京都国立博物館で展示されています。

展示会場は、表慶館。
以前ブルガリ展がやっていたと思いますが、私はここの展示に行くのは初めて…!!

今回は平日の夕方に行ったので待ち時間なしで入れましたが、週末や日中は混んでいたようですね。
ほかの展覧会より規模は少し小さい気がしたのですが、なんで混んだのだろう…と思っていたのですが、実際に訪れてみて納得。
表慶館…導線が非常に狭い…!!!
1つの部屋の大きさもさることながら、部屋と部屋の出入り口も平成館などに比べると狭い狭い…。どこかで人が立ち止ると、必然的に詰まります。
これは混む…。

今回は音声ガイドは借りませんでした。
ナビゲーターは鈴木亮平さんで、会場の入り口と出口に設置された、導入映像とエピローグでもナビゲーターを務めていらっしゃいました。
会場に入ってすぐのところでは、2分ほどの導入映像が流れており、今回の展示がどのような経緯で行われることになったのかが分かります。
「台北國立故宮博物院」の時に思いましたが、こういった展示の背景がわかるとグッと面白さが増すので、映像じゃなくてもいいから毎回教えてほしいなぁ。
「鍵の番人」って表現がめちゃくちゃかっこいいと思いました。

展示は、第1章~第5章となっていました。

第1章 テぺ・フロール~メソポタミア文明とインダス文明をつなぐ謎の遺跡~
第2章 アイ・ハヌム~アレクサンドロス大王の東征によって生まれたギリシア都市~
第3章 ティリヤ・テぺ~遊牧民の王族が眠る黄金の丘~
第4章 ペグラム~シルクロードの秘宝が集まったクシャーン朝の夏の都~
第5章 アフガニスタン流出文化財~日本で保護され、母国へ戻る「文化財難民」~

出品目録によると、各章の展示品構成は

第1章:3
第2章:31
第3章:110
第4章:84
第5章:14

となっており、3、4章に展示品が集中していることが分かります。
とは言っても、展覧会の展示品数はこまかーいものを1つとして数えるものもあったりで、体感的なボリューム感と比例しないこともあるのですが、今回はこの数のまんまの体感でした。

表慶館の構造上、3章と4章にあてがわれた部屋のスペースが一番大きい(大きいからこそ3、4章になったのかもしれませんが)ので、3章を過ぎたあとにある休憩スペースで休まれている方が非常に多かったです。

空いてはいたけど比較的人が多いなぁ、と感じた展示品は、まずは2章の「キュベーレ女神円盤」。
キュベーレとは、アナトリア半島(現在のトルコのあたり)からギリシャにかけて信仰された大地の女神で、この円盤ではギリシャで信仰された勝利の女神「ニケ」を従え、同じくギリシャで信仰された太陽の神「ヘリオス」を描きながらも、キュベーレが乗っている戦車はペルシャ風…と、多様な文化が織り交ざったアフガニスタンの縮図ともいうべき作品になっています。
音声ガイドもあったので、結構長時間張り付いている人が多かったような。

個人的には、2章では「日時計」が面白かったです。
前145年以前の石灰岩で作られた、タイプの違う日時計が2つ展示されていまして、実際にこうやって使ったんですよー、というのがよく分かるように、上部のライトが太陽の如く動いていまして。
日時計に添えられた棒(これは復元)の影がススス…と動いていく様がみれて「おぉ~!!」となりました。

3章、ティリヤ・テぺは、地元の言葉で「金の丘」を意味するそうで、アフガニスタンの北部に位置するこの地で1978年に見つかった6人の遊牧民のお墓に埋葬されていた黄金たちが展示されていました。
男性1名、女性5名が埋葬されていたこのお墓は手つかずの状態で、これだけの黄金が見つかるなんて、アフガニスタン版・ツタンカーメンの墓みたいですね。
衣類などの副葬品はアフガニスタンの気候上朽ち果てていたそうですが、だからこそ光り輝く黄金が神秘的だった、みたいなことがキャプションに書いてありました。

あとで記載しますが、今回購入したお土産クリアファイルは、この3章の展示品が施されているものにしました!
しかし…私が訪れた際はこの目玉の3章の展示室がとにかく暑くて…。
どうやら空調が止まっているようだったのですが、そこかしこから「暑い…」「なぜこの部屋だけ暑いんだ…」と(笑)
てっきり、文化財保護の関係であえて空調効かせてないのかしら?と思っていたのですが、そんな案内どこにもなく、帰ってから東博のHPみたけどやっぱり特になにもなく、だんだん、もしかしてたまたまその日空調壊れていただけなんじゃ…という気がしてきました。

今回は音声ガイドを借りなかった、と言いましたが、壁のキャプションが結構細かくて、なくても十分楽しめました。

ちなみに出口にこんなものがあったので貰ってきました。
そういえば展示室に「Q」というパネルがかかっているものがあったなぁ…と思っていたのですが、どうやらこれのクイズだったようで。

3章の入ってすぐのところにいた黄金のムフロンが表紙。
そして今回のマスコットキャラクター化されてしまった様子。ムフロンだから、語尾は「ムフッ!」。このセンス、嫌いじゃない。

「アフガニスタンてどこか知ってくださいね!」って思いがあるのでしょう、今回出品目録にもアフガニスタンの地図が載っていましたが、こちらにも。
ムフロンくんがムフムフ言いながら解説してくれます。

広げるとこんな感じでクイズが。
会場の出口にも回答がありました。このリーフレットの裏面にも答えのってます。

こちらは4章で展示されていた「魚装飾付円形盤」。1世紀頃の青銅製。
これすごく面白かったです!魚のひれとかがフヨフヨ動いて、まるで本当に泳いでいるみたいにみえる仕掛けが施されており、内陸で海が無かったペグラムの人々は、これをみて楽しんでいたのではないか…ということで。
おしゃれですね~!

お土産

今回もクリアファイルです!

3つ買いましたー!

これは特別展というより、中東系デザインだから出されてたっぽいのですが、かわいかったので購入。

こちらは3章の展示品であるイヤリング等が掲載されたもの。
このハート型イヤリングはほんとに可愛かったです。裏面にはうっすら柄がありまして…

拡大するとこんな感じ!薄いグリーンでかわいい!

3つめも、3章の展示品で、6号基に埋葬されていた若い女性が身に付いていた黄金の冠。
遊牧民らしく帯と樹形の立ち飾りはそれぞれ取り外しが可能というこちらの冠は、日本でも奈良県藤ノ木古墳で同タイプのものが見つかっているそうで、文明の交流がロマンを感じますね。

こちらも裏面にうっすら柄があって、分かりにくいけど淡い茶色になっていました。

流出文化財

さて、今回5章では、「流出文化財」という聞きなれない単語が出て来ました。

アフガニスタンの首都カブールにある「アフガニスタン国立博物館」。こちらに今回展示された品々を初め、多くのアフガニスタンの文化財が収蔵されていましたが、1970年代のソ連の軍事介入、そしてそこからの内戦により、一部は略奪をされ、あるいは破壊などをされ、永遠にみることができなくなってしまった、と考えられていました。

しかし、実は当時の学芸員の人々が、アフガニスタンの大統領府にある中央銀行の地下金庫に秘密裡に文化財を移動していました。そして彼らは、その事実をアフガニスタンの情勢が落ち着く2003年まで、実に14年間も隠し通したのです。
そして、略奪された一部の文化財は、巡り巡って日本へも渡ってきました。

こうした文化財を「流出文化財」として保護に奔走したのが、2009年に亡くなった日本画家の「平山郁夫」さんです。自らも「流出文化財保護日本委員会」(※この名前で検索したのですが、HPなどが見つかりませんでしたので現在の実態は分かりません…)を立ち上げた平山さんは、アフガニスタンの情勢が落ち着くまでこうした文化財を日本で保護し、管理していくことを提唱しました。

これに賛同した人々により守られた展示品は、なんと102件
5章では、これらのうち15点と、爆破されてしまったバーミヤンの大仏などを描いた平山さんの絵画が展示されていました。
残りのアフガニスタンの流出文化財は、同じ上野にある東京藝術大学において、本特別展と同期間に開催されていた「バーミヤン大仏天井壁画~流出文化財とともに~」で展示されています。

これらの102点の「流出文化財」は、今回の展覧会が終了した後、アフガニスタンへ返還されるそうです。
胸が熱いですね…!!

この日、東洋館の地下にあるミュージアムシアターと、平常展で展示されている伊東マンショの肖像画も見に行ったのですが、それはまた別途…。

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