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【博物館】特別展 台北國立故宮博物院(東京)(2014/06/24~2014/09/15)に白菜を観に行ってきました。

概要


東京国立博物館で開催中の特別展「台北國立故宮博物院」を観に行ってきました。白菜観れました。

 

白菜を観る前に~故宮博物院展開催の背景~

展覧会公式HP
特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」 - 東京国立博物館

台北の故宮国立博物館とは、大英博物館、ルーブル美術館、メトロポリタン美術館とあわせて世界の四大博物館とも称されている、らしい。
今回展示ブースのキャプションにも「開催するにあたってすごい頑張ったんです!!」みたいなことが結構かいてあって、こんなに自己主張するのも珍しいな…と思っていたんですが、この記事よんでなるほどなーと。

<故宮博物院展>関係者奔走、実現に10年超 開催へ法整備も – Yahoo(毎日新聞)
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記事を読んでも最初は「???」。せっかくなので「台湾」をちょっと調べて背景を学んでみました。
つまりこんな感じかしら。

1945年、日本の敗戦によって、台湾は日本の実効支配を解かれますが、変わって中国による実効支配がGHQによって決まりました。しかし、台湾は自らを「中華民国」と位置づけ、政治体制をはじめとして独立した一国家としていました
そんな「台湾」(中華民国)と日本は、1952年の日華平和条約締結により国交を樹立。この頃日本と中国(中華人民共和国)との間には国交はありません。
しかし、1972年に日中国交樹立されました。中国は、台湾をはじめとした香港、マカオなどの国々もすべて中華人民共和国であるとする「一つの中国」という原則を掲げており、これらの国々との個別の国交(国家承認)と、中華人民共和国政府との国交の「二重承認」を認めていません。このため、時の日本の内閣は、中国との国交樹立にあたり、「台湾という国家」の存在を認めない、とする必要がありました。そして、この年、中華民国との国交が断交されます。日本という国家において、台湾は「中国と言う国家」の一地域にしかすぎなくなってしまったのです。

元々、故宮博物院展の構想は10年以上前からあったのだそう。
しかし、上記のような経緯があって、「障壁となっていたのは文化財の帰属問題。国交のない日本に所蔵品を持ち出した場合、中国当局に差し押さえられる可能性を台湾側は危惧していた。」(上述の記事)
このため、故宮博物院展の開催にあたって台湾側は、中国政府に差し押さえられることがないような法の整備を日本へ要求します。こうして成立したのが、「海外美術品等公開促進法」。

強制執行等することができない海外の美術品等の指定について - 文化庁
※「平成26年4月28日 文部科学省告示第69号」が、今回の故宮博物院展のもの。

第三条
我が国において公開される海外の美術品等のうち,国際文化交流の振興の観点から我が国における公開の円滑化を図る必要性が高いと認められることその他の政令で定める要件に該当するものとして文部科学大臣が指定したものに対しては,強制執行,仮差押え及び仮処分をすることができない。ただし,当該指定に係る海外の美術品等を公開するため貸与した者の申立てにより強制執行,仮差押え及び仮処分をする場合その他の政令で定める場合は,この限りでない。
2 前項の指定(以下この条において単に「指定」という。)は,我が国において海外の美術品等を公開しようとする者の申請により行う。
3 文部科学大臣は,指定をしようとするときは,外務大臣に協議しなければならない。
4 文部科学大臣は,指定をしたときは,当該指定に係る海外の美術品等について,文部科学省令で定める事項を公示しなければならない。
5 文部科学大臣は,指定に係る海外の美術品等が第一項本文の政令で定める要件に該当しなくなったときその他政令で定める場合には,指定を取り消すことができる。この場合においては,前二項の規定を準用する。
6 前各項に定めるもののほか,指定又は指定の取消しに関し必要な事項は,文部科学省令で定める。
海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律(平成23年法律第15号) - 文化庁

新法は台湾側の要請で生まれたが、実は中国側への配慮も盛り込まれている。関係者によると、「文科相は外相と協議しなければならない」との一文があり、今回の故宮展の開催決定前には外務省が中国側に非公式に打診。「賛成はしないが、反対もしない」との感触を得て、文科省に伝えたという。
(上述の記事)

この「一文」は、3項ですね。
差し押さえの心配もない、外務省を通して中華人民共和国からも「我々は関係ない」(好きにせいよ、ってことですよね?)的な回答をもらった。
こうして2012年10月に、国立博物館と國立故宮博物院の間で正式に調印がされました。

この背景を知っておくと、白菜(が観れる)ことの素晴らしさがしみじみ理解できますね。
最初「なぜ白菜…いや奇麗だけど…でもなぜ白菜…」と思っていたよ…。
素晴らしい芸術を国内で観れることはありがたいですね。キャプションに「頑張った!」的なこと書きたくなるのも分かるし、この10年の間に、この事業に関わりながらも今回の展示を観ることなく逝ってしまわれた方々への感謝の気持ちもそこにあふれているのではないかなぁと今更ながら思いました。

 

故宮博物院展の感想

で、故宮博物院展です!
ちなみに、メトロの上野駅構内で当日券が売っていました~。博物館前の売り場は混んでいるので、メトロで行く方は利用されるといいかも。天気が悪かったので私も「ラッキー!」と思い、利用しましたが、おつりはなるべくないようにしたほうがよさそうです。

入口でチケットを見せた後に手荷物検査があります。
私博物館で手荷物検査したのって初めてでして、白菜の大物ぶりがひしひしと…笑。
土曜日の午後に行ったのですが、雨だったので「人少ないかなー」と思ったらそんなこと全然なく。
白菜がなんと「180分待ち」。ツタンカーメン展を彷彿とさせられましたが…ツタンカーメンのときはあまりの待ち時間に整理券があったけど、東博はなし。並んだものがちです。まさにディズニーランド状態。

【博物館】エジプト考古学博物館所蔵 ツタンカーメン展~黄金の秘宝と少年王の真実~東京会場に行ってきました(2012/08/04~2013/01/20)

しかし流石に180分も並ぶ気力もそこまで白菜を観るガッツも正直言ってなく…お昼を食べてから先に白菜以外の展示物を観ることに。

 

音声ガイド

今回の音声ガイドは「谷原章介」さんということもあり、ちょっと期待して借りてみました。
が、期待しすぎたのかそんなにだったかなぁ…。解説は良かったけど、今回意外とBGMあるかないかって大事だなぁと気付かされました。(空海展のときは般若信教、ルーブルのときはオリエンタルななんか曲、京都展のときはエクザイルだったりしたけど、今回何もなかった…)
混んでいたから余計に人の会話が耳に入ってきたせいかもしれないけど…。
女子十二楽坊でも聴きながら回ったら楽しいんじゃないかと思いました。

前期(6/24~8/3)ガイドリストはこんな感じ。

1:プロローグ/散氏盤
2:青磁輪花碗
3:坐石看雲図頁/奇峰万木図頁
4:蘇軾像/草書花気詩帖頁
5:文姫帰漢図軸/折檻図軸
6:青磁輪花鉢/青磁弦文瓶
7:行書間居賦巻/行書赤壁二賦冊
8:張雨題倪瓚像図巻/紫芝山房図軸
9:具区林屋図軸
10:青花竜文大瓶
11:豆彩唐子図杯
12:刺繍九羊啓泰図軸
13:花卉堆朱長頸瓶
14:玉琮
15:新嘉量
16:透彫花卉文玉香薫
17:紫檀多宝格
18:鷹文玉圭
19:粉彩透彫雲龍文冠架
20:草書書譜巻
21:藍地描金粉彩游魚文回転瓶

5の2点と20は前期のみの公開なので、後期はこれと入れ違いに来るらしい「静聴松風図軸」、「江帆山市図巻」と「行書黄州寒食詩巻」が音声ガイドに入るかもしれませんね。
焼き物と書がすごく多かった…。
私はどっちも詳しくないので、焼き物はご一緒した方に豆知識を教えていただいたりしながら観ていましたが、それでも青磁輪花碗の美しさは尋常ではなかった…!!素人でもわかる別格さ!HPで見るより断然生でみたほうがきれいです!美しい!!

音声ガイドもなくスペースのわりにやたら混んでいたのは「古稀天子之宝」がある一角。
HPで紹介されていますが、清の乾隆帝が70歳の記念に作った玉印です。混雑していて正面から観るのは難しいですが、横からだと割と空いているので、とりあえず観たい人は横から見ることをお勧めします笑

で、個人的に今回一番きれいだなーと思ったのは「藍地描金粉彩游魚文回転瓶」。
ほんとに美しい。どうやって焼いたのだろう。
一番最後のスペースにあり、隣に目玉の「人と熊」があってそちらに人が集中しているので、わりと観れます。

あと印象に残ったのは、「文姫帰漢図軸」。三国志好きな人だと観ててもっとおもしろいのかなー。

 

翠玉白菜

いよいよ白菜です。
16時頃に白菜の列へ行ってみると、80分待ちで雨もあがっていたので、やっと並ぶことにしました。

もらったビラ。

建物の中に入った後も、展示室の脇にある部屋でしばし待たされます。ほんとディズニーランドみたい。やっと特別室へ…と思っても、そこからまだ並びます。特別室のなかは薄暗く、1台の小さなモニターと、上のほうに大きいモニターがあって、延々白菜の案内VTRが。

白菜は鑑賞最前列がコースで区切られており、そこは流れ作業的に観るので時間にして1分程でしょうか。でも必ず、一人ずつ最前列で観れるのはいいなーと思いました。以降は後ろに下がって、好きなだけ観ていられます。
Wikipediaなんかみると、もともとは鉢に直立に立てかけられていたそうですが、現在は専用の台座に斜めになっている白菜。とってもキラキラしていました。
結局2列目でぐるっとみてすぐ退出。並んでから結局1時間もかからなかったのですが、いやはや、普通の展示を観た後だったのでだいぶ足腰にきました…(笑)


ちなみに入場券の裏。


白菜をみると押されるスタンプ。いや間違ってはいないけど、なんだか、白菜白菜…笑う…。

 

お土産

お土産としていつもの通りクリアファイルと、はじめて白菜型のポストカードを購入。


クリアファイルはとってもかわいいです!
なお巷で話題の折り畳み傘は特別展では売っておりませんでした。


ポストカードの表。


ポストカードの裏。

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