幕末維新歴史ネタ

【覚書】涙袖帖届きました&読みました。

幕末維新史関係の書籍の復刻や古書販売を行われているマツノ書店さんから復刻された「涙袖帖」が5月末に届きました!装丁がかわいらしいです。というわけで自分メモを兼ねて備忘録。あと花燃ゆのキャストとかについても…。

 

「涙袖帖」とは

涙袖帖(るいしゅうちょう)とは、吉田松陰の後継者として幕末の長州で活躍し、禁門の変(蛤御門の変)で自刃した久坂玄瑞が、松陰の妹であり妻の文(ふみ)に生前贈った手紙をまとめたものです。

文は玄瑞没後もこの手紙を持ち続け、第二の夫である楫取素彦に嫁ぐ際も放しませんでした。
今回マツノ書店さんが復刻した「涙袖帖」は、この文さんの「涙袖帖」をモチーフに、「夫にすべてを献げつくす妻のすがたを、物語風に描いたもの」(涙袖帖 まへがき p12)でありますが、全295pのうち「涙袖帖」は148pで、残りは松陰先生が妹(文の姉)の千代にあてた「女誡」という話になっています。

実は最初、私はマツノさんの復刻だというのでてっきり本物の「涙袖帖」の中身が見れるもんだと思っていて、「物語」ということを知ったのは届いてからでした…(パンフは中身見なかった…)
ので正直届いてパラパラ見たときに「思ってたんと違う…!!!!」と結構ガッカリしたのですが、読んでみたら久坂の手紙の内容が抜粋されていて(本物通りなのかは私にはわかりませんが…)、良かった―と思いました。

ちなみに、萩博物館蔵の楫取素彦と文さんの2ショット写真をNHKやまぐち放送のブログが掲載していました。

知りたい!「花燃ゆ」の世界
知りたい!「花燃ゆ」の世界 第2回
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文さんの写真初めて見たなー!
私のイメージ(というか古川薫氏の小説のイメージ)まんまです!!なんだか嬉しい!
賛否両論あると思いますが、こういう、あったけど今まで需要がなくて見る機会の少なかったものが出て切れくれるのは個人的にはありがたいです。(地方紙に掲載されたことがるという秀次郎氏の写真も出てこないかなー…)

* 2015/12/14 追記 *
そういえば、一坂太郎氏の「吉田松陰――久坂玄瑞が祭り上げた「英雄」」になんとこの秀次郎氏の写真が掲載されました。今年一番生きてて良かったと思った瞬間でした。ありがとう一坂先生ぃぃぃいい…!!!!
ちなみに久坂の肖像画より、本物の秀次郎氏のほうがイケメンだったので、私のどうでもいい個人的な好みの関係で、久坂(玄瑞)も肖像画よりもっと秀次郎氏寄りの薄い顔だったと信じて生きていくことに決めました。
追記終わり。

物語「涙袖帖」とは

目次はこのように。

序詞
まへがき
涙袖帖
下僕歸る
武人のつね
月下の袂別
痛ましき敗屻
黄菊の秋
因み會
あねいもと
玄瑞の手紙
大いなる愛情
女誡
松陰の妹千代
友愛に哭く
まことの心
先祖の崇敬
神明の尊崇
親族の和
孝子を育つる基
心のさび
新年の意義
小春日のたより
燃ゆる熱情
女丈夫、曹大家
卑弱篇
夫婦篇
敬慎篇
婦行篇
専心篇
曲從篇
和叔妹篇
暴風前後
最後の訓誡
悲しき霧霖
日本の母
卑弱第一
夫婦第二
敬慎第三
婦行第四
専心第五
曲從第六
和叔第七
推薦文(秋山香乃)※パンフレット記載を転載

著者は伊賀上茂(明治37(1904)~?)。愛媛県松前町に生まれ、晩年は埼玉県に居住したそうです。
愛媛新聞社文化庁、論説委員を経て、東洋大学校友会事務局長を務めました。プロレタリア詩人会を結成していたそうですが、本書は昭和19年に刊行されたという時勢もあり、「夫を支える妻」という文さんの姿にも戦時中の思想が色濃く出ています。
そのため、文さんにはかなり当時の(軍人たる夫を支える)妻の理想像が投影されていると思うのですが、

 

家僕の聲を聞きつけて、いそいそとして出て来たのは、まだうら若い久坂玄瑞の妻、文子であつた。面長の顔、きれのながい眸、楚々とした容姿は、秋の野花のやうにやさしく美しかつた。
(下僕歸る p5)

『旦那さまは、もうこれまでと御決心になり、寺島様たちと、立派に御割腹なすつたといふことを、後から承りました』
『やつぱり、さうでしたか ― 」
うめくやうに呟いた文子の美しい頬が、見る/\蒼白いまでにひきしまつて行つた。
(下僕歸る p7)

 

文 さ ん が 美 女 に … !!!!
来年の大河はこの路線なの?しかし、久坂の訃報を受け取って、

男の仕業は女の力であるといふことを、かたく信じて疑はなかつたからである。
『良人が外へ出て思ふ存分働くことが出来るのは、結局、妻が内を治めてゐるからである。家を守る妻の力が弱ければ、忽ち外に出てゐる良人の働きが鈍つてくる。だからこそ、女の力は男の働きだと言つてよい。私は良人玄瑞に、もつと/\働いていたゞくやうにしなければならぬ』
文子は、何時もさう考えてゐた。
それ故、玄瑞が回天の事業中途で、非業の最期を遂げたといふことは、悲しみてもあまりあるが、日本の歴史の正しい在り方を翹望しつゝ、その一つの礎石となつて、天朝さまの御為に、よろこんで身命を捧げたのだと思ふと、絶對に泣けなかつた。
(武人のつね p11-12)

とかは、時勢とはいえ今見ると私なんかはムカムカしますな…。
文さんは多分そんなこと考えるタイプじゃなかったんじゃなかろうか、と思う。久坂も天子さまのために散ったわけではないですからね…。いや「御所の霧を払いたい」とは言っていたけど、あの当時の尊皇派の上層部って、言い方あれですけどもっと腹黒く考えていたと思うのですよね…。「天子」というか、もっと大きい、広い意味での「日本」としての在り方というか。

と思わずミーハーのくせに興奮。
いやしかし、「月下の袂別」と「痛ましき敗屻」は良かった(笑)
久坂が亡くなる前に手鏡を見て笑った、というのはこの物語が出所なのかなーと思いました。初めて出版物でちゃんと見たわ。
「月下の袂別」は、私はもしかしたら久坂系の小説で一番久坂の描写が好きかも知れない…と思うくらいツボでした。やっぱりこういうのは、現代文じゃなくてこういう文体のほうが好みです。

しかしすいません、個人的に一番の衝撃は、 久 坂 家 っ て 下 僕 を 雇 え た の …!?久坂が稼ぎ出してからなんでしょうが…これはホントなの??雇う必要あるの??久坂はそういうの雇わなそうだなーと個人的に思っていたので、この設定(史実なのか知らないけど)はビックリでした。
「玄瑞の手紙」、「大いなる愛情」はほぼ久坂の手紙の内容になっています。

花燃ゆのキャストも続々決まっていきますが、久坂以外の面々も身長それなりに大きかったり、久坂役の人をよく知らないので(あ○ちゃんはみてない)どうなのよ想像以上に感想もなにもないなー…、とか、松陰先生が伊勢谷とかむしろなに吉田家は眉目秀麗という設定でいくの?城下一の美少年が霞むんですけど…という感じで心揺さぶられていたのが逆に落ち着きを取り戻しつつあったのですが、伊藤のキャスティングだけは楽しみでしょうがない(笑)いいんじゃないか!ありなんじゃないか!!こうなったら聞多をはよ!!

ちなみに今年の大河は外出したりで再放送すら観れたり観れなかったりなのですが、おもしろいです。一番好きなのは柴田さん(もとたか)だったりします。たまらん。

* 2015/12/14 追記 *
大河、結局5話くらいまでしか見ませんでした…高杉が死ぬとこはなぜかみました…イケメンでした…。

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