先週末に、岡田准一主演の「永遠の0」を観てきました!原作は読んでいないのですが、個人的に映画がとってもおもしろかったので、その感想と派生して色々感じたことをつれづれと。映画のネタバレを思いっきりしているので、まだ観ていない方はご注意を。
感想
以前書いた下記の記事の中で、ホタルが好きという話をしたのですが「永遠の0」、いや、今までみた戦争ものの映画の中で一番おもしろかったです!
【WW2】戦争を知らない世代の私が思う、終戦の日つれづれ~君の祖国は、日本と呼ばれる~
久々に映画のクチコミレビューとか、ほかの人の感想をみたくなって、先週はずっとググっていたほど…。原作を読んでいないのですが、映画だけ観ても非常にまとまっていて作品として完成しているのでは?と感じました。
ホタルやほかの映画についてもそうですが、「戦争を美化している」とかいう感想は、これを史実として観てはいないので、個人的には気にしません。だって原作はあくまで「小説」などのフィクションですから。映画を批評するほど映画にも詳しくないので、以下は素直に個人的に感じた感想を…。
面白かった点
・空中戦の再現がすごい!エンジン音も現在稼働する唯一の零戦から撮ったということもあり、とにかく臨場感がすごかった!“音”が入るのは映像作品ならではの魅力だと思っています。ここまで空中戦を再現(?)した映画は、多分無かったのでは?
・“過去”と“現在”の時間軸が違和感なく良かった!この時間軸の見せ方って、戦争映画ではよくあると思うのです。ホタルもそうだったし、有名なところでは「男たちの大和」とかなのかなぁ。しかし…個人的に「男たちの大和」はこの時間軸の見せ方が好きじゃなくて、鈴木京香演じる娘さんが仲達さんと船上等で会話するシーンで一気に映画じゃなくて、「映画を見ている私」に引き戻されちゃって、厭だった記憶があります。なので「男たちの大和」はあんまり引き込まれず…残念なことに良い感想を持っていないのです…。
・どこかのラジオでも聞いたけど、映画の最後、点としてバラバラだった証言が一気に集約されてくるシーン。鳥肌ものでした!良かった!!
・景浦の回想と大石の回想シーンのリンク。これは…正直もう一回映画観たいと思わされました。
・大河ドラマとの連動。狙ったのか…観た後に教えてもらって気づいたのですけど、井崎を演じる濱田岳が、大河の善介なんですね!もちろん、映画観たすぐあとの大河ドラマでは、善介がいつ「小隊長!!」って言い出すかドキドキしていました…。
・岡 田 く ん が 尋 常 じ ゃ な く か っ こ よ か っ た 。
これに尽きます。いや、でも、これは岡田君あっての映画「永遠の0」でしょう!!
今まで観た岡田くんの映画のなかでもいっちばんかっこよかった!!役柄?見た目??なにがかっこいいのか…は自分でもよく分からないのですが、とにかくものすごくかっこよかった!!
きよちゃんを抱っこするシーン…真央ちゃんとの別れのシーンで最後まで決して後ろを振り返らず去っていくシーン…(現代ラブストーリーなら抱きしめて涙を誘うところなんでしょうけど…!!)、そのくせ戦場で教え子にまで妻子を自慢するシーン… 宮部素敵!!!(笑)
ちなみに残りのうち10%は景浦です。景浦美味しすぎるだろう…。
ちょっと残念だった点
・都会の町並みのなかで零戦。
すいません…あのシーンいるの??いや、色んな人の話をきいて、その中から浮かび上がってきた宮部(祖父)と出会う健太郎(孫)ということなんだろうけど、なんというか、男たちの大和デジャブ(現実に引き戻される個人的に好きじゃない演出)。心のなかで「えええええええ!!?」ってなっていた。
その他口コミサイトを見た感想
・この映画を戦争賛美、という意見に個人的に「???」だったのですが、某所で見かけた、家族の元に生きて帰りたいと言いつつ、敵方のアメリカ兵を殺すことには躊躇が無いこと、という意見が「なるほどな~」と感じました。
私はこの面では、「二百三高地」に勝る映画はいまだかつて観たことがありません。この点は後述。
・井筒監督の発言ですが…個人的にそんなに目くじら立てることではないかなと思っています。ラジオの音源聞きましたが、全編聞いていたら爆笑しました(笑)“映画監督”として、同じ業界で仕事をするうえでの人の話だと個人的には思っているので、ああいう意見もあって良いのでは。
・そういった点では、むしろ、この映画をみて「おじいちゃん世代すごい!」と単純に感動するのが危ういのかなと思いました。ホテルの合コンで「特攻と自爆テロは同じでしょ」という友人にいきり立つ健太郎。動揺しながらも醒めてる友人。あのシーンがなんだかすごく重たいです。
ほかの映画との比較感想
・パクリの話
クチコミをググっている中で、“壬生義士伝”が出てきて、これがまたおもしろかった!
どちらも映画だけ観て原作の小説を観ていないので、「オマージュ」発言も知らなかったのですが…いやいや、パクリという話なら壬生義士伝ではないだろう、と個人的に思ったので、そういう観点でみたときの感想を。
上記のような意味では、ほかの特攻隊関係の作品では「ホタル」と最も似ているのでは?と思いました。
特攻隊で自分の上長が亡くなる
↓
自分の戦闘機はエンジントラブルで帰還する
↓
上長の遺品を上長の婚約者に私に行く
↓
紆余曲折
↓
結 婚
大石と松乃を観ていて…「おぉ…これが特攻隊映画の王道設定になっていくのかしら…」と正直思いましたとさ。
いやー、でも井上真央ちゃんはなんであんなに可愛いのでしょうね。花燃ゆ期待。正直永遠の0を観ていて、岡田くんが久坂をやってくれたら、我一遍の悔いなし…って心境だったのですが、まぁ、無理だよね(大河スケジュール的に)。
・「戦争」映画としての話
私が今まで観てきた戦争映画(特攻隊物)って、極端にいうと主役にイケメンを据えて「祖国を守るぜ!」って英雄志向でいくものと、なんで生き残っちまったんだ俺は…って罪悪感に苛まれながら「あの時代は悲しすぎる」って元気なくなる感じなものと、純粋に、戦争とはすべきものではない、ってメッセージをぶつけてくるものがあったと思うんです。どれも基本的には、根底に「戦争だめ!平和が一番!」って意識を持っているのだけれど、そこは作品で付随するメッセージを踏まえて色々見せ方が違うから、あの映画はよくてこの映画はだめ!と言われているんだろうなぁ…と思います。
名作・二百三高地
「永遠の0」では、敵方の命を奪うことには躊躇がない、というレビューがなるほどなぁと思ったという話は先述しましたが、永遠の0は「家族愛」、「生きる」というメッセージを伝えたかったということで、そもそも戦争とは相手がいる、ということはクローズアップというか問題ではないんでしょうがないのかなという。
この点をクローズアップというか、見事に描いている作品は「二百三高地」をおいてほかにはないでしょう。こちらはWW2ではなく、日露戦争のときのお話ですが、本当に名作だと思います。
伊藤博文、山県有朋といった、明治維新を経験して現在は管理職のような位置にいる立場からの見解。
乃木希典、児玉源太郎という、歴史に名を残す現場を指揮する将軍たち上層部からの葛藤。
そして、あおい輝彦演じる「小賀武志」という一兵隊をはじめとする、戦争に駆り出されてきた実際に戦場で戦う兵士たちの叫び。
ロシア文学を愛し、教師をしていた小賀は、日露開戦の機運が高まるなかでも、「トルストイを生んだロシア」を愛し、また祖国である日本を愛しています。それは戦争が始まっても同じです。
けれど、戦局がすすんでいくなかで、その小賀が少しずつ変わっていく。
「皇国の興廃此の一戦に在り、各員一層奮励努力せよ」
勝つために試行錯誤する軍上層部。それも最もだと分かります。
けれど、そんな美学や慰めは実際に死んでいく兵士たちには意味がない、という小賀。
クライマックスで、ロシアの一兵と交戦するシーン。愛していたロシア。そのロシア兵に向き合うあおい輝彦の表情が本当にすごい。ロシア兵は「ママ…イワン(ロシア兵)に力を…!」と言いながら、小賀とやりあう。
このとき、良い意味で私は現実に引き戻されるのです。
小賀が帰りたい故郷があるように、このロシア兵にも帰りを待つ家があるのだと。
それに気づいた時、「戦争」とは果たしてなんなのか、痛感させられるのです。
これほど見事に、祖国日本への誇りを感じさせ、同時に戦争の無意味さを痛感させられる作品はいまだないでしょう…。
私は二百三高地を観たあとから思うのです。
戦国の合戦を描いた作品は誰もたたかないのに、比叡山を焼き討ちした織田信長を声をあげてそこまで非難する人もいないのに、どうしてWW2を描いた作品だけがいつも問題になるのでしょうか。
戦国BASARAというゲームをやったことがあるのですが…100人斬りどころの騒ぎではありません。でも問題にならない。当然ながら、ゲームという娯楽商品上の演出だから。
でも多分、大東亜BASARAなんぞ出てみたら、もう大炎上でしょう。
戦国は内乱で、WW2は外国が絡むからでしょうか。
戦国は600年も昔の話で、WW2は100年もたっていないからでしょうか。
亡くなった方の人数が違うからでしょうか。
亡くなった人が戦闘集団かそうでないかの違いでしょうか。
でも戦国だってWW2だって、現地で戦うのは職業軍人ではない人もいます。
この辺はなにが正しいのか、なにが悪いと感じることの原因なのか、私にはまだ分かりません。でも、こっちは良いけどあっちはだめ、で片付けるのは違うのではないかな、と思っています。
などなど…。色々なことが頭をめぐりますね!
いやぁ…でも岡田くんが本当にかっこよかったです…。
*2014/09/06*
ブクログに関連書籍のレビュー書きました。
https://yugetuan.net/20140824_001/
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