児恋草

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【鳥尾小弥太】兒戀草006

概要 本文 富貴と稱し。貧賤と呼ぶも。富者必ずしも貴からず。貧者必ずしも賤しからず。元来貧富は。只財の多寡を言ふのみ。貴賤の如きは。徳と位によりて稱せらる。其位に人爵天爵の別あり。特に長幼の分。君子小人の別あり。故に朝廷には位を尚び。郷黨に...
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【鳥尾小弥太】兒戀草005

概要 本文 士夫外に職に勤めて録を求む。婦人内に在て奢り。心に任せて之を濫費す。これ易の所謂雷澤歸妹の象なり。其上狡を窮むれば。家を破り徳を棄つ。人生の大禍これより甚だしきはなし。 衣食住の三つは。人の依りて以て生存する所以のものなり。就中...
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【鳥尾小弥太】兒戀草004

概要 本文 慳貪の念を去り。無心にして心を生ずれば。情想正しく。魂神安く平かなり。抑も人は。天地の間に生れて。天を頂き。地に往す。日月出没し。晝夜交代し。四時推移し。生死相継ぎ。老幼相倚る。尊卑位を定め。男女其徳を徳とす。譬へば鏡の蓋を開く...
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【鳥尾小弥太】兒戀草003

概要 本文 王侯も人なり。匹夫匹婦も人なり。福禄同じからずといへど。人の徳人の道に兩般なし。各其分限に應じて受用すれば。衣食おのづから餘あり。十善法語の不貪欲戒に。世の人暴飲過食して生を傷ひ命を失ふものは比々たり。飢餓凍餒して死するものは。...
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【鳥尾小弥太】兒戀草002

概要 本文 手にて携へ足にて行く。何の為めに携へ。何の為に行くとならば。則ち人の事をとり運び。人の道をふみ行ふのみ。抑も身を修め。家を齊(とゝの)へ。各(おの/\)其職分を盡すことは。上天子より。下は庶人に至るまで。かはることなし。就中(な...
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【鳥尾小弥太】兒戀草001

兒戀草について 兒戀草(児恋草)は、鳥尾晩年の著書。明治34年に完成。娘廣子にあてて書かれたもので、「子を思ふ思ひ草の数々よしなしことを書き付けて」と冒頭にあるように、内容は多岐に渡る。 鳥尾の著書としては割合分かりやすい文章で書かれており...